三振王&失策王となった三冠王に、トリプル3の面影が薄れ、最優秀バッテリーの栄光は何処へ‥‥。内野陣も〝華々しい〞ワーストな活躍を見せてくれた。
23年、セのWVP(ワースト・バリュアブル・プレーヤー)に輝いたのは、ヤクルトの若き大砲・村上宗隆(23)だ。昨年、最年少三冠王に輝いた面影はなく、今年は無冠で終了。マルチ三振(1日2三振)38試合、猛三振(1日3三振)9試合と、三振王とのW受賞となった。
あまりにも打てなさすぎてオールスターにも選出されなかったが、不振の要因を愛甲氏がこう分析する。
「春のWBCで大谷(翔平=29)を目の当たりにして、メジャーで活躍するためにはあのレベルにならなければ、と自分でハードルを上げてしまったんじゃないかな。いわゆるWBCの後遺症です。トレーニング方法も変えたと思うけど、日本には村上レベルの選手を見れる指導者がいないので、チェックはしてもらえても、成績を伸ばすためには自分でやるしかない。大谷がここまでの選手になるのに時間がかかったように、短期間でレベルは上がらない。状況的にかわいそうな面も感じます」
愛甲氏によると「打撃不振に陥ると失策も増える」そうで、22失策はセの三塁手の中でワースト1位だった。
二塁手は過去に3度のトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を達成しているヤクルトの山田哲人(31)だ。打率2割3分1厘はプロ12年目にして最低の数字を記録することとなり、2年連続の受賞となった。
「打撃のクオリティが急激に落ちたよね。以前はバットのハンドリングがうまくて下半身の回転力もすばらしかったけど、今年は打撃力の低下とともに走れなかった。盗塁は4つだけでしょ。ケガでも抱えているんじゃないかな。気持ちと体が一致していない」(愛甲氏)
同じく「ヒザでも壊しているのかな、と感じるほど衰えが早い」と首をひねるのは、角氏だ。
「年齢的にも老けるのは早いんだけど、何かバッティングが雑に見える。三振しても狙い球が外れたんだからしかたない、みたいなね。今年は7年契約の3年目ということで、危機感が薄れているのか‥‥」
遊撃手はDeNAの京田陽太(29)とヤクルトの長岡秀樹(22)の〝2割2分7厘対決〟となったが、年俸が高いわりに出場試合数が少なかった京田に軍配が上がった。
「中日時代は100試合以上に出場してコンスタントに100本以上の安打を記録していたけど、移籍1年目の今年は93試合で57安打ですからね。中日が放出したのもわかります」(伊原氏)
一塁手は来日8年目を迎えた中日のビシエド(34)だ。伊原氏が続ける。
「3年目こそ首位打者を獲得しましたけど、今年は2割4分4厘で本塁打は初めて1ケタ台の6本で終わった。それで3億5000万円は見合わないでしょう」
1本塁打あたり5800万円では、4番の座を奪われて当然だろう。
捕手ではオリックスの森友哉(28)次いで2位の高額年俸(1億円)を誇る巨人の小林誠司(34)。
「21試合しか出場していなくてヒットがわずか1本でしょ。17年にセの最優秀バッテリー賞を受賞した2人(菅野&小林)が今やワーストバッテリーになってしまった(笑)」(角氏)