「GIII富山」◎北井佑季/○取鳥雄吾/▲皿屋豊/△松本秀之介/三宅達也/吉田敏洋/飯野祐太/坂本亮馬/竹内雄作/山岸佳太/上田尭弥/野口裕史
33バンクは先行有利。スピード自慢の機動型のマッチアップは格下の選手でも勢いで押し切りがある。
「GIII富山」(11月17日【木】~20日【日】)は、直後に小倉競輪祭(11月22日~)が控えているため、S級の上位選手は見当たらない。33バンクらしくスピード自慢の機動型がそろい、残り3周の青板から戦闘開始する激戦の4日間になりそうだ。
本命には2班の北井佑季を抜擢する。特昇してまだ半年足らずの京王閣記念(〈2〉〈3〉〈3〉〈6〉)で、じっくりその脚を確かめたが、長い距離を踏めてよく粘っており、アマチュアで自転車競技を経験していない選手にしては、新人らしからぬレース内容だった。
新人といっても32歳。10年から18年までJリーグで活躍し、そのうち15年からの3年間はJ3カターレ富山に在籍していたので、今回はいわば里帰り。ここは単騎戦が濃厚だが、東日本の追い込み選手の追走もある。同型とのマッチアップを制してGIII初Vを飾る。
GIの常連、取鳥雄吾が先に動いて逆転を狙う。ガードするのはベテランの三宅達也。昨年まで3度参戦していた競輪祭は残念ながら走れないが、その無念を晴らすシーンは十分ある。
そのあとに続くのも先行選手。地元地区の皿屋豊と九州の先頭で戦う松本秀之介も差はない。
【大穴この1車】
山中貴雄(高知・90期)。
今年後半のグレード戦はGIとGIIIそれぞれ2場所ずつ出走し、成績は〈1339〉。ラインの3番手もある追い込み選手らしく2、3着が多い。万車券を演出したのは10月の前橋寛仁親王牌(〈5〉〈9〉〈3〉〈3〉)の3着2本が1万円超、8月西武園AS(〈8〉〈4〉未〈2〉〈3〉)は4万円超と3万円超。そして、8月の富山記念(〈6〉〈1〉〈9〉〈2〉)では最終日に13万円超を出している。ターゲットは後半戦の2、3着だ。
【狙い目の伏兵3人】
朝倉智仁(茨城・115期)は、1月に1班復帰が決まっている。苦戦が続くS級戦とは対照的に、8月GIII函館と6月小松島記念で準決勝に進出している。先手を取れば、逃げ切りがある。
今期、初めてS級入りした中嶋宣成(長野・113期)は、記念で3場所連続1次予選を突破。ここで2次予選を勝ち上がるようなら勢いに乗る。
本命に推した北井とともに、ファイナルに登場してもおかしくないのが土生敦弘(大阪・117期)だ。8月GIII岸和田(〈1〉〈2〉〈2〉〈9〉)の再現以上もあるのではないか。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。