師走は2週目に突入。季節は慌ただしく過ぎていくが、それに乗った競馬もそうで、師走の風物詩とも言うべき有馬記念は、あと2週に迫った。
その師走のGI戦第2弾は、デビュー間もない2歳牝馬同士の戦い、阪神ジュベナイルフィリーズだ。
おてんば盛りが多く、前走で強い勝ちっぷりを披露していながら、あっさり馬群に呑まれて消えてしまう馬もいる。なんともつかみづらいのが、この時期の牝馬の特徴で、人気どおり収まらないことも多い。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は6回(馬連で5回)。一見、そう荒れていないように思えるが、この間、1番人気馬は7勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着3回)で、1、2番人気馬によるワンツー決着は2回のみ。一筋縄で収まらないことが見て取れよう。
にもかかわらず、この20年間でウオッカ(06年)、ブエナビスタ(08年)、アパパネ(09年)、ラッキーライラック(17年)、ソダシ(20年)など、ここで勝利を収めて翌年のクラシック戦線で活躍した馬は少なくない。波乱含みとはいえ、桜花賞、オークスを見据えたうえで馬券作戦を組み立てることが、ポイントになるだろう。
今年の顔ぶれを見てみよう。前哨戦ファンタジーSの1、2着馬リバーラとブトンドール。アルテミスS1、2着馬ラヴェル、リバティアイランド。新潟2歳S勝ちのキタウイング、札幌2歳Sの1、2着馬ドゥーラにドゥアイズ。新馬─特別と2連勝中のウンブライルなどが有力候補とみられているが、いずれも力は確かなものの、絶対視できるような抜けた存在は見当たらない。伏兵視できる馬も多く、ハイレベルの混戦模様とみてよさそうだ。
悩むところだが、穴党として期待を寄せてみたいのは、ミシシッピテソーロである。前走のアルテミスSは9着に敗れたが、これで評価が落ちるようなら好都合だ。
その前走は3カ月ぶりの実戦で体重が12キロ増。明らかに重め残りの仕上がり状態だった。やや行きたがるところがあり、前半、折り合いを欠いたのは、そのためで、参考外にしていいのではないか。
今回は中間しっかりと調整されて、乗り込み量も豊富。1週前の追い切りは悪い馬場状態の中、稽古駆けする相手と互角に動いて気を吐いていた。
「輸送もあり恐らく10キロぐらい体重は減ると思うが、それが本来の姿。力を出せる状態で臨めると思う」
畠山調教師がこう言って巻き返しを誓っていたように、新馬─ダリア賞を連勝した馬。素質は有力どころに決してヒケを取らない。
「右回りは初めてになるが、まったく問題ない。持ち味を生かせれば、と思っている」
畠山師が言うように、強烈な末脚がこの馬の身上で、阪神の外回りのマイル戦は、力を生かすには持ってこいの舞台である。
5代母は愛1000ギニー(桜花賞に相当)を勝ち、愛オークス2着の活躍馬。血統的に見ても、2歳女王の座に就いても不思議はない。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
1勝クラスの登録が14頭(うち1頭は回避予定)と多く、そのうち抽選で3頭の枠があるが、運よく出走できるようであれば、一発十分と思える馬がいる。コンクシェルがそれだ。
前走の赤松賞(6着)は4カ月ぶりの実戦で、体重が前走比18キロ増と明らかに重め残りだった。しかし休み明けを使われたことで大幅良化、今回は実にいい雰囲気にある。
母系は欧州の一流血脈で、素質はかなりのもの。要注目だ。