巨人軍の伝統は忘れ去られてしまったのか。原巨人の外国人補強計画に口うるさいOBたちから、異論の声が湧き起っている。
今オフ、巨人はFA戦線で完全敗北。ドラフト組を除いて新戦力と言えるのは、広島からの出戻りである長野久義と、ソフトバンクを退団した松田宣浩のロートル2選手しかいない。大型トレードも望めないのが現状で、球団内には「(若手に)つなぐ期間は2~3年必要。ある程度、外国人でつながないといけない」という声が主流となっている。そのため、総勢10人を超える大量の外国人選手獲得を予定しているという。
外国人枠について、日本プロフェッショナル野球協約は、次のように定めている。
各球団は、任意の数の外国人選手を支配下選手登録できる。ただし、出場選手登録(1軍登録)は4人まで、かつ投手または野手として同時に登録申請できるのはそれぞれ3人まで。
また、外国人選手と育成契約を結ぶことも可能だ。ある意味、無尽蔵に外国人選手を招き入れることができ、巨人はそれを最大限に利用しようとする魂胆である。
この方針に、伝統を重んじるOBたちは声を荒らげる。ある重鎮OBは、
「巨人は球団創設以来、純血打線で優勝を勝ち取るのが目標だった。ONがいた時のV9がまさにそうだ。確かにその後、クロマティなどが在籍し、優勝に貢献したシーズンもあった。とはいえ、レギュラー全員が日本人選手で、打順が固定されるのが理想。外国人に頼るチーム作りは巨人ではない」
バッサリと現方針を斬り捨てたのだ。
すでに、パイレーツからFAとなっていた大型右腕タイラー・ビーディを獲得。今季メキシカンリーグで無敗のヨアンデル・メンデスや、ブルージェイズからFAとなったフォスター・グリフィンという左腕2人の獲得も濃厚となっている。
だが、これはほんの手始め。今後も続々と新外国人選手が加入しそうだが、これでV逸ということになれば、口うるさいOBたちはもう原体制にこれ以上、黙っていないだろう。
(阿部勝彦)