もう、昔のマイコラスではない。元巨人のマイルズ・マイコラスが来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(以下=WBC)のアメリカ代表として参加することが明らかになった。マイコラスといえば、巨人在籍の3年間で通算31勝、2017年には最多奪三振のタイトルも獲得している。
「日本球界で成長し、メジャー帰還後に大型契約を勝ち取った『ジャパニーズ・ドリーム』の代表的な投手です」(スポーツ紙記者)
18年からはカージナルスと契約。リーグ最多の18勝を挙げ、翌19年には「開幕投手」にも抜てきされた。さらに「4年総額6800万ドル」(20年~)の大型契約も結んでいるが、マイナスの情報も聞かれた。
「侍ジャパンの強敵になる? その可能性は高くないと思います。マイコラスは20年オフに前腕部を故障し、今季前半まではボロボロでした。後半は復調の兆しを見せていましたが…」(在米ジャーナリスト)
大型契約を交わした後は、「故障との戦い」だった。「もう大丈夫」と先発マウンドにあがっても炎上、もしくは、イニングの途中で前腕部の痛みを訴えて再び故障者リスト入りしてしまうなど、散々だったという。
「かつては、日本で飛躍的な成長を遂げた投手として米メディアにマイクを向けられ、ここ2、3年は『大型契約の失敗例』として取り上げられています」(前出・在米ジャーナリスト)
今季は苦しみながらも12勝を挙げた(13敗)。侍ジャパンに対する意気込みが見られたのは、今年8月4日(現地時間)のカブス戦。マイコラスは「4番・鈴木誠也」に適時打を打たれた。このときは日本時代を懐かしむコメントは双方ともに出していないが、9月4日の同カードではマイコラスが3打数無安打に仕留めており、
「日本のプロ野球出身選手との対戦はエキサイトする!」
と、興奮気味に話していたそうだ。
「とはいえ、鈴木は巨人時代のマイコラスを知っています。『真っすぐが遅くなった』と感じたのでは」(前出・在米ジャーナリスト)
マイコラスは来年8月には35歳になる。酷評された大型契約にしても、来季がその最終年だ。WBC出場は再び複数年契約を結ぶための格好のアピールの場であり、NPB出身選手との対戦でアドレナリンを出しまくって、完全復活したいところだろう。
(飯山満/スポーツライター)