現役ドラフトで巨人移籍が決まったオコエ瑠偉外野手の入団会見が開かれた(12月14日)。
オコエは「まずは地元でプレーできるのがすごく嬉しく思います」と再スタートへの意気込みを語っていたが、その言葉には深い意味があった。
「楽天時代、オコエは休日になると東京に帰っていたんです」(スポーツ紙デスク)
東北新幹線はやぶさなら、楽天イーグルスの地元・仙台─東京間は1時間半。日帰りも難しくない距離である。オコエ自身が語っていたことだが、2年ほど前に家族が大病を患ったため、頻繁に帰京していた。また、学生時代の友人をずっと大切にしているため、東京に帰りたいとの思いが強かったそうだ。
オコエの関東一高時代を知る、アマチュア野球担当記者が言う。
「プロ入り後の目標を聞いたら、『走塁は鈴木尚広、打撃は中田翔と山田哲人』と話していました。鈴木コーチも巨人に復帰しましたし、今回の巨人移籍に張り切っていると思います」
課題は打撃と言われているが、売りの守備ではユニークな情報も聞かれた。グローブの使い方が異色なのだ。
通常、グローブの指は5本別々に入れるが、オコエは打球の勢いを止めるため、人差し指を入れる部分を使わない。人差し指は中指のところに入れ、中指は薬指のところに入れる。そして、小指用の穴に薬指と小指の2本を入れるのだ。
人差し指を入れる部分を使わないと、親指と人指し指の間にある「ウェッブ」と呼ばれる網の幅に「使っていない人差し指部分」が加わり、グローブをより深く使えるのだ。
「さらに、オコエのグローブは人指し指を入れる『中指の背面部』に指を出す穴が空いています。もちろん、このグローブは特注です」(楽天球団関係者)
なんとも独創的なグローブだが、人差し指をその穴から出すことによってさらにウェッブが広くなり、ポケットが深くなるというわけだ。
「小指部分に薬指と小指を2本入れるグローブの使い方が一時期、メジャーでも流行しました。日本でも外野手や速い打球を捕球する三塁手が試しにやっていました。好みによると思いますが、賛否両論ありますね」(スポーツメーカースタッフ)
オコエが東京ドームで守備のスーパープレーを見せたら、ウェッブを広く使うグローブの使い方が、野球少年たちの間で流行しそうだ。異色のグローブが「オコエモデル」として発売されるかもしれない。
(飯山満/スポーツライター)