秋の臨時国会で旧統一教会(世界平和統一家庭連合)関連法案(被害者救済新法と改正消費者契約法)をなんとか成立に持ち込んだ、岸田文雄総理。返す刀で、政府は旧統一教会に対して、宗教法人法に基づく2度目の質問権行使に踏み切るなど、問題解決の本丸とされる裁判所による解散命令も、その実現へ向け勇躍、動き出したかに見える。
だが、岸田総理の本気度を信じるのは早計だ。事実、総理に近い岸田派の有力幹部は、
「実は法務省や内閣法制局へのヒアリングを重ねた結果、岸田総理は当初から『旧統一教会への解散命令は難しい。裁判所は解散命令なんか出せっこない』とのホンネを周囲に漏らしていたんです。もちろん、総理のこのホンネは、松野(博一)官房長官をはじめ、総理官邸内の側近らにも、しっかり伝えられていました」
こう内情を暴露した上で、次のように指摘するのだ。
「裁判所が解散命令を出すか否かの判断基準について、岸田総理が秋の臨時国会当初に『民事案件は含まれない』と答弁したのも『解散命令なんか出せっこない』と考えていたからです。そして、その答弁を一夜にして『判断基準には刑事案件のほか、民事案件も含まれる』と翻したのもまた、野党や国民から沸き起こった大ブーイングをかわすためのポーズ。要するに、空手形にすぎなかったのです。事実、総理は今も『刑事案件に民事案件を加えたところで、やはり解散命令など出せっこない』と考えています」
だとすれば「やるやる詐欺」にも等しい国民への背信行為ということになるが、この間の事情に詳しい政府関係者も、次のように明かすのだ。
「被害者救済新法を通した。消費者契約法も改正した。質問権も早期に行使した。やれることはやった。裁判所がどう判断するかは知らない──。岸田総理はこの論法で逃げ切ろうとしている。本来は宗教法人法そのものにメスを入れるくらいの英断があってしかるべきだが、総理の頭の中にそのような意欲的な考えはハナから存在していなかった」
仮に予想に反して裁判所が解散命令を出した場合、岸田総理は自分の手柄にするつもりなのかもしれない。国民よ、ダマされてはいけない!