集団的自衛権の解釈変更でいよいよ戦場への派遣が事実上、容認される方向にある自衛隊。しかし、依然として、就職先としての人気も抜群。その給与や待遇のよさから、テレビでお見合い番組が制作されるほど。はたして、そのウハウハな生活ぶりはいかなるものか。日本の「トップ機密」を全て暴く!
全国22万人の自衛隊員にとって、前代未聞の“有事”となりそうなのが、今国会で白熱した集団的自衛権の行使容認に向けての議論だ。現在、閉会後も与党・公明党が自民党に対し文言の修正を求めているが、閣議決定されれば、自衛隊員が戦地に派遣されるばかりか、戦争に直接参加する可能性も出てきたのだ。
だが、気の早い自衛官からは、皮算用を始める隊員もいるという。20代の海上自衛官が明かす。
「イラクに派遣された時は、『派遣手当』が1日3万円もらえました。集団的自衛権の行使が容認されたら、イラクよりも厳しい環境に派遣されることが予想されるだけに、手当がどのくらいになるのか、隊員間で予想し合っています」
その生命の危険と裏腹に、公務員という安定した職業のみならず、手厚い待遇で今や、独身女性からも憧れの職業に選ばれるようになった自衛隊員。その高給ぶりは、今や公務員の中でもトップクラスだという。元航空自衛官で、軍事ジャーナリストの潮匡人氏が語る。
「公務員でいちばん稼げるのは、東大を卒業してキャリア官僚になるケースだと思われていますが、実は防衛大学を卒業して、防衛省の制服組のトップである統合幕僚長まで上り詰めると、生涯賃金で逆転していちばん稼げます」
防衛省の発表によれば、統合幕僚長の給与は、年間約2300万円なり。その金額は、一部上場企業の専務クラスの平均に匹敵する数字。退職金も約7000万円と破格なのだ。
ちなみに、一般的な自衛官でも給与の高さは、一流企業並み。民間企業なら課長補佐に当たる「3佐」ならば年収は767万円。部長クラスの「1佐」ともなれば1240万円ほどと、何ら遜色ない。だが、昨今の残業ゼロの流れを先取りしてか、原則として残業手当は存在せず、基本給に約20時間分の残業代が含まれているというが、残業を命じられるケースはほとんどない。
20代後半の陸上自衛官は、苦笑交じりに話す。
「民間企業のように自分の実績が数字に反映されないため、頑張っても頑張らなくても給与は同じ。期末・勤勉手当(ボーナス)も支給されるので、入隊から1年もたてばサボるのがうまくなっちゃいます(笑)」
さらに、マスコミから袋叩きにあった高額の退職金はいまだに大きな魅力。給与が頭打ちの中、「55歳で定年を迎えた1佐では約4000万円が支給される」(自衛隊OB)とは、青息吐息の中小企業の社員から見れば、うらやましいかぎりだろう。