集団的自衛権行使を巡る法整備に向けて、国会論戦が始まった。目下、議場で“集中砲火”を浴びる安倍政権だが、本当の“敵”は野党ではない。メチャクチャな理屈で我が国固有の領土の領有権を主張する“隣国”である。さっそく、防衛大臣は自衛隊の「攻撃型兵器」の装備を示唆。軍拡を続けるかの国の軍隊が暴挙に出れば「完全粉砕」されるだろう!
7月6日、小野寺五典防衛大臣(54)は米国へと旅立った。集団的自衛権行使を容認する閣議決定後、初めての訪問であった。12日には、ヘーゲル米国防長官と会談し、日米防衛協力のためのガイドラインに閣議決定した集団的自衛権行使を反映させることで一致。会談後の共同会見では、ヘーゲル国防長官が安倍政権の決断に歓迎の意を表した。
小野寺防衛大臣の訪米の目的は会談だけではなかった。会談を前に、数々の軍事施設を視察したのだ。
サンディエゴの海軍施設で強襲揚陸艦「マキン・アイランド」を視察。強襲揚陸艦は空母のような全通甲板を持ち、多数のヘリや水陸両用車も搭載できる。小野寺防衛大臣は「多目的の輸送艦は重要。今回の視察を参考に、日米協力を通じて最新鋭のものを考えたい」と話し、自衛隊の装備に加えることに前向きな姿勢を示した。
さらに、フォートワースでは最新鋭ステルス戦闘機F-35の製造工場を見学。すでに、航空自衛隊に42機の配備を予定しているが、計画よりも多い機数の配備に意欲を示している。
自衛隊に「攻撃型兵器」を装備することを示唆しているのだ。
軍事ジャーナリストの加藤健二郎氏が言う。
「専守防衛の範囲を逸脱するような攻撃型兵器という批判をしているメディアもありますが、それは的外れです。いずれの装備も必要なものです。先進各国がステルス戦闘機を配備する中で、日本だけが装備しないというわけにはいきませんし、離島も本土並みに日本国土として防衛していくためには、強襲揚陸艦も必要となってくるでしょう」
そもそも自衛隊の装備は「防衛大綱」をもとに目標が定められていく。安倍晋三総理(59)が政権を獲った12年に、現行の「防衛大綱」を凍結。13年夏に発表された新たな「防衛大綱」の中間報告には、島嶼(とうしょ)防衛の強化が含まれていた。
すなわち離島奪還作戦に活用できるよう自衛隊に海兵隊の機能を持たせることであった。その中核となるのは、陸上自衛隊の水陸機動団で、離島防衛専門の「西部方面普通科連隊」である。この部隊の拡充とともに、問題となっていたのが輸送手段でもあったのだ。
前出・加藤氏が話す。
「現状、離島防衛に当たる隊員と物資を運ぶのは、海上自衛隊のおおすみ型輸送艦になります。輸送ヘリやLCACというホバークラフト型の小型揚陸艇を搭載しています。しかし、国境紛争を想定すれば、より効率的に離島まで人と物を運ぶ必要性が出てくる。すでに、陸自に17機の配備が決まっているオスプレイも同じ垂直離着陸が可能であるヘリよりも航続距離が長く、積載量も多く、効率という観点から見れば必要性は高い。また、試験的に配備されている米海兵隊が使用している水陸両用装甲車であるAAV7を搭載することを考えれば、米製の強襲揚陸艦を持つことは不自然ではありません」
自衛隊がこうした装備を急ぐのは、尖閣諸島の領有権を主張する中国があるためだ。防空識別圏を勝手に策定、自衛隊機への急接近など挑発行為も目に余るものがある。いわば、中国という「仮想敵国」に対する「攻撃型兵器」なのだ。