プロ野球の各球団が今年抱える最大のテーマは「声出し応援」の解禁タイミングだという。
1月5日に日本野球機構(NPB)の榊原定征新コミッショナーは年頭の挨拶で「今年は声出し応援ができる環境を整えて、多くのファンに球場に足を運んでもらえるようになることを期待している」と話した。
球界OBは「Jリーグや音楽ライブではすでに声出し応援や観覧が解禁されている中で、プロ野球だけ遅れている。この状況を上層部がちゃんと理解できているかが問題」と顔をしかめる。球界関係者も複雑な表情で、
「声出し応援を解禁することで、減少した来場者を戻す起爆剤としたいと考えている球団もあります。しかし、その一方で『声出し応援を再開するならもう球場には行かない』との声もあるんです。コロナ感染に敏感なこうした意見にも耳を傾けざるを得ません。球団はどちらにもいい顔をしたいので踏ん切りがつかないのです。かといってNPB任せではいつまで経ってもコロナ禍前に戻らず、『あてにならない』と嘆いている」
ファンから声出し応援の要望が最も多いのは、甲子園を本拠地とする阪神とも言われる。
「声出し応援禁止にもかかわらず、一部のファンが構わずに大合唱することもあった。NPBでもこの問題は取り上げられたことがあります。ただ、阪神ファンばかりを批判できない時期に来ていることは確かです。どのタイミングで完全に元に戻すのか、または暫定的に、例えばラッキーセブン前だけに限定して解禁するなど他の方策を考えるのか、ファンに対して答えを出さないとならないでしょう」(スポーツ紙記者)
コロナ感染の第8波も収まらない中、各球団には難しい選択が迫られているのである。