夜の世界では、世間の一般常識がまかり通らないこともある。前回(11月18日配信記事)は、クラブホステスの誹謗中傷にまつわる裏事情を書いた。どんなにSNSやネット掲示板で叩かれても、店の雰囲気を壊さないために被害を訴えられない苦悩が、そこにはあった。それは店の中で起こる嫌がらせに対しても、同じだという。
都内のクラブに勤務するB子さんは入店してまもなく、持ち前の明るい性格で人気ホステスとなった。しかし、それがきっかけで、やっかみを買った同僚ホステスからの嫌がらせを受けるようになる。
「お客さんと同伴した際、私が着替えている間に、ヘルプの子がついたんです。そのヘルプは私を目の敵にしているC美というホステスの、子分のような存在。『B子って、実は彼氏がいるらしいよ』って、根も葉もない話をお客さんに吹き込んだんです。お客さんはムスッとしてしまい、私が席に戻っても、ひと言も口を聞いてくれませんでしたね」(B子さん)
あるいはこんな直接的な嫌がらせではなく、営業妨害ともとれる行為に及ぶことも。
「新規のお客さんが来て、シャンパンを入れてくれたのはいいのですが、私に一気飲みするよう強要したんです。断れないのでちゃんと全部いただきましたが、その後の記憶がありません。トイレで吐いて倒れているところを黒服に介抱してもらい、その日は帰りました。あとでC美がその客に『B子はシャンパンが大好きだから、1本は余裕で一気できるよ』と煽ったようです」
B子さんはママに相談したが、巧妙な嫌がらせゆえに、ママも注意ができなかった。ドレスを隠されたり私物を盗まれるなどの嫌がらせであれば、店側も対処できただろう。しかし物的証拠がない上に、水商売というのはお酒が入る仕事でもある。「酔っ払っていて覚えてないです」と言われたら、それ以上は問い詰めようがないのが現状なのだという。
(カワノアユミ)