アメリカの科学雑誌が「人類最後の日」までの残り時間を象徴的に示す「世界終末時計」がある。これが過去最も短い「残り1分30秒」と発表した。そもそも「終末時計」とは何かといえば、核戦争による人類滅亡を「午前0時」に設定し、それに至るまでの残りの時間があと何分何秒かを示した、いわば想像の時計である。
初めて発表されたのは1947年。「残り7分」から始まり、東西冷戦終結後の1991年には「残り17分」にまで伸びた。が、1970年代後半から80年代にかけて旧ソビエトがアフガニスタンに侵攻するなど、再び米ソの対立が深まると、1984年には「残り3分」に。それ以降、3分から2分を行ったり来たりしながらも、コロナ時代まっ只中の2020年から3年連続で「残り1分40秒」と短縮された。
そして今年は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などを受けて「1分40秒」から10秒縮まったと「警告」された形である。
これに苦言を呈するのは、軍事関係者である。
「アメリカはウクライナに相当数の戦車、武器の提供を発表しています。その戦争に対して武器を放棄していない国の雑誌が、ロシアのせいで世界は滅びますよ、と言ったところで説得力はない。むしろ、人類を煽っているような時計設定です。そもそもこれには科学的根拠がなく、気にするのはどうかと思いますね。およそ6600年前には、巨大隕石が地球に衝突して恐竜を絶滅に追い込んだ、ということもあるわけで、『あと1分30秒しかない』ということに特段の意味はない。人類の未来なんて、誰にも計れませんよ」
「ノストラダムスの大予言」に振り回された過去を思い出すべきだろう。