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日ハムが盟主・巨人に噛みついた本当の理由(3) ドラフトで再三衝突していた

 とはいえ、東海大学系列から、日ハムに選手が指名されたケースは、80年の原辰徳以降、03年に東海大菅生高校の金森敬之(現日ハム)しかいない。両者の関係は決して良好でないことが見て取れるのだ。
 今から遡ること31年前─。東海大相模高校で活躍した原辰徳は、父親が監督を務める東海大に進学。プロ入りの時に「巨人、横浜以外にはプロ入りを拒否」という強い方針を打ち出した。しかし、ドラフトでは、広島、日ハム、横浜、巨人の4球団が競合。結果 は、巨人が引き当てたからよかったものの、複数の球団の競合に、原貢監督の怒りはハンパなものではなかったというのだ。
 当時を知るアマチュア野球担当記者OBが振り返る。
「原(貢)さんが『アイツら、人の言うこと聞かないなら絶縁だ』とわめき散らしていたのを思い出します。息子の時と同じようなことを今回、かわいい孫にまでやりやがってという思いが強いのではないか」
 原貢氏の胸中には、31年前の「苦い思い出」が去来したに違いない。実に、巨人と日ハムのドラフトを巡る怨念は30年にも及ぶのだ。
 その後、巨人と日ハムは、ドラフトで何度も〝衝突〟している。中でも03年、甲子 園通算63奪三振の活躍で注目された浦和学院高校の大型左腕・須永英輝を巡る争奪戦は、まさに日ハムが一矢報いたドラフトだった。
「巨人一本」を打ち出していた須永に対して2巡目で仕掛けたのは日ハムであった。巨人は1巡目で、以前から巨人行きを表明し、高卒でのオリックス1位を蹴って、東京ガスに入社した内海哲也を指名しなければいけなかった。その間隙を縫って指名したのが日ハムだった。
 最終的には冷却期間を置いた末に、入団獲得に成功。その後、須永は「意中の球団・巨人」にトレードとして戻すことで和解の形をとっている。
06年には、日大卒業時の長野久義が「巨人以外には行かない」と言いながら、3巡目が終わっても、巨人が指名しなかった例がある。「巨人しか行かないと選手に言わせて、指名巡を下げて、競合しそうな選手から先に獲っていく。そういうやり方をされるのが、いちばん許せない」
 と言うのは日ハムのスカウトの一人だ。
 スカウトたちにしてみれば、いつも「巨人にしか行かない」と言わせて、煮え湯を飲まされているという積年の思いが強かったのだろう。「そうそう、いい思いばかりさせたくない」という思いが、日ハムを突き動かしたのかもしれない。

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