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日ハムが盟主・巨人に噛みついた本当の理由(2) ドーム使用料が経営を圧迫

 まさに、「青天の霹靂」だった巨人にとっては、日ハムによる横槍がおもしろいわけがない。一昨年の長野久義、昨年の澤村拓一は、ドラフト以前の段階で、「巨人以外の指名の時は社会人や海外に行く」と表明。その結果、巨人は一本釣りに成功してきた。
 ましてや、菅野の場合は巨人にとっても特別な存在だ。祖父にアマチュア野球界のドン、東海大グループの総帥・原貢氏を持ち、伯父に巨人の原辰徳監督がいるという血縁関係は、ドラフトでの相思相愛よりも強い血のつながりで結ばれているだけに、チームひいては原一族にとっても巨人入りが悲願だったのだ。
 球界関係者によれば、「現在の巨人では原監督の出身校〝東海大にあらずば人にあらず〟と言われるほど、東海大人脈が厚遇されている。あのナベツネ(渡邊恒雄読売グループ会長)も夏場以降、原監督批判をしなくなったのは、菅野が原監督の甥と知ってからだと言われ、『原監督の延命は菅野獲得にあった』と揶揄されるほどでした」
 だが、それを百も承知で日ハムが指名に動いたのは、「いつもウチは巨人に利用されているだけ」という現場の思いがそれ以上にあったからである。
 日ハムは、長年にわたって巨人に苦汁をなめさせられてきた歴史がある。
 かつて、日ハムの元幹部は、巨人との関係についてこう述べたことがあった。
「札幌に移って何よりもうれしかったのは、巨人ファンが8割の地で、ウチが来たことで日ハムファンが8割になったことです」
 日ハムが札幌移転を決めたのも、巨人に比べて、東京ドームの球場使用料があまりにも高かったことが原因だったとも言われている。先代の大社義規オーナー(故人)は「全てが巨人優先のうえ、使用料が高く、球団経営を圧迫する」と、こぼしていた。そして、球団経営の健全化を掲げ、札幌に移ってからは、地道な経営努力でフロント主導のチーム作りをしてきた。そこには、「メジャーにならって、全球団が平等でなければならない」という思想が、根強くあることは確かだ。
 かつて球界の盟主・巨人とパ・リーグの一球団にすぎなかった日ハムのチーム力の差は歴然だった。
 過去に2度、日ハムは巨人と日本シリーズで対戦しながら、2度とも敗れている。元日ハム監督の故・大沢啓二親分をして「巨人に勝って日本一にならないと寝覚めが悪いんだ」と言わしめたほどだ。その意味では、原監督の甥を擁して、巨人に勝つのろしを上げることは、今年10月の大沢親分の三回忌に思いをはせるためにも、必要だったわけである。

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