とはいえ、川田を全買いしてルメールを買わなければ儲かるかといえば、そう単純なものではない。まずは、今週から皐月賞当日までロング開催される阪神競馬場での成績を見ていこう。
「川田騎手は芝の中長距離が総じて得意です。施行レース数が極端に少ない2600メートル以上を含めても、芝1800メートル以上は20~22年の3着内率が63.4%に達しています。7割前後の確率で馬券に絡むコースもあり、回収率も優秀。世間の見立てをさらに上回るような高確率で馬券に絡んでいるので、狙わない手はありません」(伊吹氏)
中でも注目は、牝馬に乗った時だ。
「20~22年、牝馬に乗ったレースに限ると、3着内率が75%で複勝回収率は112%。21年4月の大阪杯をレイパパレ(4番人気)で勝っているほか、22年12月のチャレンジCでもルビーカサブランカ(4番人気)で2着。意外と人気の盲点になりがちなので、しっかりマークしたいですね」(伊吹氏)
対するルメールを見ていくと、ダート短距離での成績が振るわない。
「20~22年に限ると、1200メートルと1400メートルは好走率も回収率ももの足りない水準。人気を集めていたら積極的に嫌っていきたいですね」(伊吹氏)
阪神といえば、1~2コーナーが小回りのお結び型で、ゴール前に急坂が待ち受けている。そのため、スタート後のポジション取りや最後のひと踏ん張りが勝敗の明暗を分ける。栗東トレセン関係者が話す。
「20年から豊さんが独自のあぶみ『武豊モデル』を使い始めた影響で、将雅も昨年からオリジナルの『あぶみ』を使っているんだ。それでレースぶりが変わったね。以前は横山武や坂井瑠星(25)のように馬を促してポジションを取りに行くケースが多かったけど、それもめっきりと減った。『ハマりがいい』と馬のリズムを重視して乗っている。昨年の桜花賞でも直線で接触がありながら、スターズオンアース(7番人気)をまっすぐに突き抜けさせて勝利に導いた」
先日放送された競馬番組「武豊TV!II」(CSフジテレビ系)の「ジョッキー新春座談会」にゲスト出演した際、「川田モデル」のあぶみを持参して「レースの組み立てがだいぶ変わりました。改めてこんなにあぶみが大事なんだと」と話していたように、好成績の要因となっていることは間違いない。ちなみにオリジナルのあぶみを持つ騎手は、武豊と川田の2人だけだ。