夏の行楽シーズンには、意外な落とし穴が待ち受けている。ちょっとした不注意が思わぬ反則切符を切られる場合もあるのだ。ドライバー必読の「道交法違反」の数々を以下──。
2013年度の高速道路における違反で、最も多いケースが約43万件のスピード違反。次いでシートベルト違反の約18万件。そして意外にも「通行帯違反」が8万5299件で第3位に続く。典型的なケースが、追い越し通行帯の走行だ。
高速道路で、いちばん左側の通行帯が空いているにもかかわらず、追い越し通行帯を走行していた。あるいは、前の車を抜き去ったあとも、空いている左側の通行帯に戻らず、走り続けてしまったことはないだろうか。「なんでこれが交通違反なの!?」(草思社刊)の著者・今井亮一氏が解説する。
「道路交通法(以下、道交法)第二十条第1項違反です。通行帯が2つなら左側を、3つあれば左側か中央を通行しなくてはいけません。反則金(断りのない以外、普通車)6000円、減点1点です」
道路標識などにより一部例外のケースもあるが、追い越し通行帯をおおよそで1キロ走り続けると、「アウト!」と思っていたほうがよさそうだ。
高速道路の運転で、もう一つ気をつけたいのが、事前の愛車チェックだ。道交法の第四章の第2条三節で、運転者の義務(自動車の運転者の遵守事項)が定められ、道交法第七十五条の10で規定されている。
「あらかじめ、燃料や冷却水、オイルの量をしっかりと点検し、高速道路でも早めの給油を心がけたい。もしガス欠になれば、反則金9000円、減点2となります」(今井氏)
ここでは積載物の転落や飛散防止についても定められているだけに、自転車やボードなどの積載にも注意を払いたい。
同時に、車に備え付けられた、故障時の表示に使用する三角表示板のチェックも忘れてはいけない。今井氏が言う。
「パンクなどのアクシデントで、高速道路の路肩に車を寄せ、JAFを待つにしても、三角表示板を設置しないと、反則金6000円、減点1となります」
高速を降りてからも、うっかりしがちなケースがある。例えば、むやみにクラクションを鳴らせば、御用だ!
「赤信号で停まっていて、青信号に替わったことに気づかない前の車に対し、警音器を鳴らして知らせる場面を見かけますが、これも道交法違反になります。もちろん、デートで彼女を迎えに行き、合図で鳴らすなんてこともダメです」(今井氏)
基本的にクラクションは、危険防止のためにやむをえない時に使用するもの。安易なクラクションの使用は、その重要性が希薄になるおそれがあると考えられ、使用する場所や機会が限定されている。
運転中の携帯電話の使用、これも誤解が多いようだ。昨年の違反件数は116万3453件だった。着信メールを読むぐらいなら‥‥という安易な気持ちのドライバーが多いのだろう。これは道交法第七十一条第五の5中で、「画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視した者」と記されている。
「ここでいう注視とは2秒以上と解されています。着信確認だけなんて考えず、使えないと思ったほうが無難です。通話にしてもハンズフリーキットを使用すれば違反にはなりませんが、運転中の通話は危険です。違反にならなければいいというものではないと思いますね」(今井氏)
冒頭のケースのみならず、駐車にもさまざまな“落とし穴”がある。駐車禁止の標識もなく、法定禁止場所でもない自宅や実家前の路上に駐車していても罰金を取られるケースがある。夏休みに車で帰省する時には注意が必要だ。
「道交法とは別に、『自動車の保管場所の確保等に関する法律』があり、その第十一条第2項で、12時間以上の駐車と夜間8時間以上の駐車を違反行為としてあげています」(今井氏)
罰則は20万円以下の罰金。昼間が5万円、夜間が4万円が実際の相場のようだ。昨年、全国で3497件(夜間が3329件)も起きている。
楽しいはずの夏休みが、反則金で台なしにならないようにしたいものだ。