「松山記念」◎脇本雄太/○郡司浩平/▲守澤太志/△坂井洋/香川雄介/渡部哲男/橋本強/和田圭/山田久徳/山田庸平/清水裕友/松本貴治
体調に不安があったとしても、実戦になれば本領を発揮するのがトップクラスの選手である。
ナイターで行われる「松山記念」(3月9日【木】~12日【日】)には、高知全日本選抜で決勝戦に進出した3選手が出走する。結束の固い四国勢は4者ラインで抵抗するが、単騎でも戦える自在型が多く、その動きが読みにくい。断然の主役がいるものの、波乱の決着も考えておきたいシリーズになりそうだ。
実力日本一の脇本雄太を不動の本命に推す。決勝戦4着に終わった全日本選抜は、持病の腰痛不安とロングスパートがこたえてゴール前で失速。中9日と調整期間は短く、万全の体調では臨めないにしても、戦い方は心得ている。山田久徳との近畿コンビでまくり一閃。今年3度目の記念Vを飾るとみた。
南関は手薄ながら守澤太志がガードしそうな郡司浩平が脇本に肉薄する。立ち回りは巧みで、中団から先に仕掛けて逆転を狙う。あとは全日本選抜準優勝の守澤と、単騎戦もある坂井洋を警戒したい。
バンクに登場するだけでファンから喝采を浴びるのが渡部哲男だ。愛媛きってのスター選手は、松本貴治─渡部─橋本強の地元トリオに、全日本選抜6着の香川雄介が4番手を固める四国ラインの司令塔になる。松本の頑張りしだいでは、表彰台に上るシーンがあるのではないか。
【大穴この1車】
西村光太(三重・96期)。
1、2月に演出した万車券3本の中で強く印象に残っているのが立川記念(〈4〉〈4〉〈9〉〈1〉)最終日の8万円超。つけた先行が垂れるとみるや、まくりに転じての快勝劇だった。記念では昨年12月高松(〈2〉〈2〉〈5〉〈7〉)の2次予選が3万円超、10月松阪(〈2〉〈6〉〈1〉〈2〉)の初日1万円超もある。追い込み選手だが失格はまずしない。切り替え策で直線伸びてくるはずだ。
【狙い目の伏兵3人】
四国に機動型が少ない頃に積極策で戦っていたのが門田凌(愛媛・111期)だ。今は番手戦が多く、差し切りに期待したい。
21歳のルーキー、上野雅彦(香川・119期)は、S級戦では準決勝止まりと苦戦している。ただし、昨年12月の広島と高松の両記念で2度ずつ車券に絡んでいる。主導権を取っての逃げ切りがある。
佐々木眞也(神奈川・117期)は、直近の3場所はすべて決勝戦に乗っている。1班を相手に競りも辞さないファイターだけに、予選は突破できる。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。