マイク・トラウトのバットが空を切り、日本中が3大会ぶり3回目のWBC世界一に歓喜したはずが──。
「日本が優勝したのは、他の人のツィッターで知りました」
そう話すのは、WBC日本代表のキャンプも見た宮崎県民のひとりだ。
「宮崎にはNHK以外の地上波は2局しかなく、テレビ朝日系列は放映されていません。昨年のサッカーW杯でも、日本VSクロアチア戦は見られませんでした。今回のWBC決勝戦もそうです。宮崎ではケーブルテレビを契約したくても、工事可能地域が限られているんです。Amazonプライム会員だけがAmazonの配信を見ることができましたが、登録にはクレジットカードが必要なため、自分のようにカードを持たない人や高齢者はカヤの外です。山本由伸投手は地元の都城高校出身ですし、ダルビッシュ有も宮崎キャンプから参加してくれてあんなに盛り上がったのに…」
宮崎県と福井県にはテレビ朝日系列の地方局がなく、テレビ朝日系の番組は他局系列でのクロスネットで放映されているため、獅子奮迅の活躍を見せた吉田正尚の故郷、福井県でもWBC決勝戦が放映されなかった。福井県民や観光客はSNS上で、
「吉田選手の活躍見たいのに、福井県民に全く関係ない環状7号線グルメ放映してる」
「よりによって、こんな日に福井に旅行なんて来るんじゃなかった」
そして2県の視聴者からは、
「もう地上波なんて見ない。AmazonプライムとAbemaと契約する」
という怨嗟の書き込みまで見られたのだ。
宮崎県民と福井県民の声は届かないのか。テレビ朝日は決勝戦放映後の「ワイド!スクランブル」内でなぜか、日本代表と関係のない韓国国民のインタビューを紹介。さらには大谷翔平とダルビッシュ有、ヌートバーが揃った最後の会見に、テレ朝のバラエティー番組出演中の元日本ハムの杉谷拳士氏が乱入。現地は午前2時を回っているのに、大谷に「僕のこと覚えていますか」と質問するなど、悪ふざけが目立ったのだった。
テレビ朝日に改善を期待するより、Amazonプライムに対応改善を期待した方が現実的なようだ。