今年1月からアメリカを皮切りに公開されている「くまのプーさん」を題材にしたホラー映画が、香港とマカオで公開中止になったと、配給会社VIIピラーズ・エンターテインメントが発表した。
3月23日の公開を前に、突如「お蔵入り」になった作品は「Winnie the Pooh: Blood and Honey(くまのプーさん:血とハチミツ)」。くまのプーさんが殺人鬼と化すなんとも物騒な話だが、A・A・ミルンの原作小説の著作権が今年1月に消滅したことで製作、公開されることになったという。
上演中止の理由は明らかにされていないが、くまのプーさんが中国の習近平国家主席に酷似していることが原因と言われている。映画ライターが語る。
「近年、習主席とくまのプーさんをなぞらえて揶揄する動きが広がっており、中国では厳しい検閲の対象になっています。事実、2018年にはディズニーの実写映画『プーと大人になった僕』が検閲に引っ掛かり、公開されませんでした。全世界で親しまれているプーさんですが、少なくとも中国では反政府の象徴であり、習近平をバカにするキャラクターと化しているのです」
プーさんは、フィギュアスケーター羽生結弦のお気に入りとしても有名だが、
「羽生の演技後、スケートリンクにくまのプーさんのぬいぐるみが投げ込まれるのが恒例となっていますが、昨年の北京冬季五輪ではぬいぐるみの持ち込み自体が禁止され、『プーさんの雨』が降ることはありませんでしたね」(スケート関係者)
プーさん締め出しは習近平周辺の忖度もあるとされるが、
「これが『殺人鬼のプーさん』となれば、ロシア訪問で虐殺王プーチン大統領と会談した時期と相前後するタイミングもあって、『戦争犯罪者に賛同』するイメージに追い討ちをかけることになる」(政治部デスク)
子供も喜ぶ可愛らしいキャラクターの存在は、中国の器の小ささをクッキリと露見させたといえよう。
(ケン高田)