大阪・梅田の地下街に古くからあった立ちんぼスポット「泉の広場」は今、様変わりし、そこから地上に出たホテル街が客引きの舞台となっていることは、前編で書いた。
3月末に梅田のホテル街を訪れると、飲食店とホテルがひしめきあう狭い路地に、7人ほどの女性が等間隔に立っていた(写真)。
「月末になると、特に多いですよ。借金の支払いなど、なにかと出ていくものがありますからね。ホストのツケが払えずに立っている、新顔の立ちんぼもよく見かけます。ホストがこの場所に女の子を連れてきて『ここに立っていれば、客を捕まえられるから』と説得していることもありますね」(近隣の性サービス店従業員)
令和元年から2年にかけて、17歳から64歳の立ちんぼ、計61人が逮捕されたのだが、その半数以上の38人が生活のためであり、ホストクラブで遊ぶためだという女性も9人いた。そのせいか、今では20代の女性が多いように思える。若い女性であれば、まっとうな性サービス店で働いても、それなりに稼ぐことができるはずで、町中で客を捕まえる危険を冒す必要はない。わざわざ街に立ち、客を引く理由はどこにあるのか。社会部記者が言う。
「ホストがツケを回収するため、客の女性を性サービス店で働かせることは違反行為にあたります。それを警戒して、スカウトマンと店側は、ホストから紹介されてくる子は働かせたくない。スカウトの中には反社の者もいるため、警察としては暴力団に流れるカネを止めたい、という面もあるでしょう。こうした事情から、路上に立つのが手っ取り早い、ということに…」
今年1月、客の女性を性サービス店で働かせたとして、元ホストの男が逮捕された。女性は2021年10月から翌3月までの間、都内や福島、愛媛、熊本、大分、沖縄で性行為を強いられ、売上金を渡していたという。これに関連し、性行為の場所を提供したとして、那覇市の性サービス店の経営者と店長の男も逮捕されたのだ。
かつてはホストと客の二者間で、ツケの回収を行っていた。
「ところが現在は、ホストがスカウトを挟んで客に性サービス店を斡旋し、カネを回収しつつ、スカウトからバックを受け取る構図ができた。警察はそれを阻止するため、見せしめで逮捕しているのではないか」(前出・性サービス店従業員)
一斉逮捕の後も法の目をかいくぐり、立ちんぼは減るどころか、増えているように感じるのだ。