桜が散るか散らぬか、本格的な春の到来となった今週、牝馬クラシック第1弾、桜花賞が阪神競馬場で行われる。
下馬評としては、2歳女王の座に君臨したリバティアイランドが絶対視されている。確かにGI阪神JFでは圧倒的な強さで勝っており、目下のところ、その後の新興勢力の台頭を含めても、トップの座に居座っていることは確かである。
が、リバティアイランドは、それ以来、戦列を離れている。陣営の思惑に沿って、予定どおりしっかりと調整が積まれているとはいえ、なにせ4カ月ぶりの実戦。本来の力どおりの走りを見せてくれるのか疑わしくもあり、全幅の信頼は寄せきれない。
周知のように3歳の若駒は急成長する時期にあり、大きく変わり身を見せる馬も少なくない。そうした要素も考慮してみると、前評判どおりの結果には、なりにくいのではなかろうか。
ただ、データからは大きく荒れることは考えにくい。03年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、1、2番人気馬のワンツー決着が7回あり、どちらかが連対を果たしたのは6割強。荒れるイメージでありながら、そうでもないのがこの桜花賞である。
では、最有力候補のリバティアイランドを含め、人気どおりの決着になるのか。他の有力どころを列挙してみよう。
阪神JFの3着馬ドゥアイズ、チューリップ賞の1~3着馬、モズメイメイ、コナコースト、ペリファーニア、フィリーズレビューの1~3着馬シングザットソング、ムーンプロープ、ジューンオレンジ、アネモネSで1、2着したトーセンローリエとコンクシェル。その他にもハーパー(クインC)やライトクオンタム(シンザン記念)などが争覇圏内にひしめいているとあっては、リバティアイランドで絶対とは言えないだろう。
穴党としてはひと波乱ありとみて、ブトンドールに期待してみたい。
新馬─函館2歳Sを連勝したものの、父がビッグアーサー(高松宮記念勝ち)ということもあり、早熟タイプで短距離向きの馬とみられていた。
しかしその後、3カ月半ぶりとなったファンタジーS(芝1400メートル)で2着。休み明けで余裕残しの状態でありながら、最速の上がり脚を使ってのものだった。これで評価が大きく変わり、注目される存在になったのだが、続く2歳牝馬の総決算、阪神JFでは10着に敗れてしまった。
これで再び評価落ちとなったが、この時は落ち着きを欠いていて、パドック(下見所)からテンションが上がっていたことを思うと、俗に言う“2走目のポカ(2走ボケ)”ではなかっただろうか。
再度、放牧でひと息入れて、3カ月ぶりの実戦となった前走のフィリーズレビューは6着。とはいえ、勝ち馬とはコンマ4秒差だった。この時、体重が12キロ増だったことからして、今回は使われての変わり身を大いに期待できるのではないだろうか。
実際、使われて体が締まり、中間の稽古の動きがグーンとよくなっている。タフネススター(カブトヤマ記念)、カゼノコ(ジャパンダートダービー)、シェスキイ(安田記念)など、一族に活躍馬が多くいる血統馬。母系を思えば距離の不安はない。
厩舎関係者も「レースセンスがあり、勝負強い馬。やれていい」と口をそろえており、その勝負根性をもってすれば、チャンスは十分あるはずだ。