北朝鮮が昨年1年間に海外から盗み取った「暗号資産(仮想通貨)」の総額が約16億5000万ドル(約2250億円)にも上っていたとの、驚くべき事実が明らかになった。
暗号資産の取引状況を分析しているアメリカの企業が報告書として公にしたもので、報告書は昨年1年間に全世界で盗み取られた約38億ドルの暗号資産のうち、その4割以上が北朝鮮のハッカー集団による犯行(サイバー攻撃)だったとしている。この数字は、北朝鮮が一昨年に盗み取った約4億3000万ドルの4倍近くに相当する。
また、北朝鮮に対する経済制裁の履行状況を調査している国連安全保障理事会の専門家パネルも、北朝鮮が昨年1年間に海外から盗み取った暗号資産の総額が過去最高額に達していたことを、報告書で明らかにしている。
金正恩総書記率いる「ドロボー国家」の闇実態があらためて浮き彫りにされた格好だが、欧米の情報機関に太いパイプを持つ国際政治アナリストは、
「国際社会による経済制裁が続く中、金正恩は外貨を盗み取るためのエリートハッカーを次々と養成し、東南アジアをはじめとする世界各国の拠点に闇のハッカー集団を送り込んできた。暗号資産の取引を行っている企業に偽装メールを送りつけ、ウイルスに感染させて暗号資産を盗み取るというのが、北朝鮮ハッカーの主な手口です」
こう明かした上で、次のように指摘するのだ。
「驚くべきは、このような手口で盗み取った暗号資産が、北朝鮮経済の相当部分を占めているとされる点です。しかも、金正恩は人民が飢えに苦しんでいることなど顧みず、盗み取った暗号資産を注ぎ込んで、核・ミサイル開発を進めている。逆に言えば、これ以外に金王朝を存続させる手段がないほど、金正恩は追い詰められているということです」
断末魔に喘ぐ「ドロボー金正恩」の姿が目に浮かぶようではないか。