「武雄記念」◎脇本雄太/○松浦悠士/▲平原康多/△山田庸平/佐藤慎太郎/新山響平/東口善朋/岩本俊介/稲毛健太/小松崎大地/吉田拓矢/松本秀之介
たとえ単騎でも、多彩な戦法で勝ち負けを演じるのが自在型の選手である。
「武雄記念」(4月22日【土】~25日【火】)は、GWに開催される平塚ダービー(5月2日~7日)への記念最後の前哨戦になる。SS班5人と各地区にレース巧者がめじろ押し。激戦が続く4日間になりそうだ。
実力日本一の脇本雄太が厳しいマークをものともせず、1月豊橋記念以来、今年3度目の記念優勝を飾るとみた。まだ体調に不安はあるが、スピードに乗れば誰も止められない。脇本の後位を稲川翔─東口善朋が固める鉄壁の近畿ライン。3人で表彰台独占もある。
中四国は手薄なメンバーで、松浦悠士は単騎戦も覚悟しなければならないが、自在脚ある多彩な策士。先行ラインへの飛びつきから逆転を狙うのではないか。
あとは、吉田拓矢との関東コンビで仕掛ける平原康多と、地元の利がある山田庸平を警戒したい。
ここの18年覇者である山田英明が、弟の庸平と兄弟タッグでバンクを沸かせる。GI決勝戦で2度3着した実力者。FI戦とはいえ2場所連続優勝しているだけに、軽視はできない。
山田英と同様、有力候補には入らなかったが、久木原洋(埼玉)の動きがいい。決勝戦に進出した1月豊橋と3月大垣の両記念では直線でよく伸びていた。勝ち上がれば、吉田─平原の3番手でチャンスをうかがうことになる。
【大穴この1車】
近藤保(千葉・95期)。
優勝した前走の宇都宮(〈5〉〈1〉〈1〉)の準決勝1万円超まで、3月に走ったS級戦3場所すべてで万車券を演出している。記念でも1月和歌山(〈1〉〈2〉〈5〉〈8〉)の2次予選2着まで3場所で1本ずつ出し、やはり1万円台だった。ラインの先行と2人で車券に絡むことが多く、筋違いのもう1人をセレクトできるかどうかだ。
【狙い目の伏兵3人】
青柳靖起(佐賀・117期)は、この地元記念は3年連続の参戦になる。昨年は(〈3〉〈9〉〈6〉〈2〉)と健闘した。2次予選突破もある。
来期7月から1班に昇班するのが、青柳と同期の伊藤旭(熊本)だ。すでにS級戦では決勝戦の常連で、昨年11月GIII富山(〈2〉〈4〉〈1〉〈4〉)の好走が光る。九州期待の若手先行の1人だ。
やはり7月に1班選手になる121期早期卒業の大器、中野慎詞(岩手)が、今年2度目の競輪を走る。海外での自転車競技を主にしているからだが、記念は昨年11月伊東と9月青森で準決勝まで3連勝。ファイナリスト入りも十分ある。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。