これはいくらなんでも短いのではないか。上映時間90分の「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編─運命─」だ。あっという間に終了した感じがあった。
理由は単純だ。前作の大ヒットを受けて、今回は2部作公開になった。その前編である今作は、後編につながる話の展開になっている。2部作だから、1本分は短い。そんなところだ。
ただ、さぁこれからという段階でいきなり終わってしまうので、肩透かしを食らう。別の見方をすれば、映画が面白いからそう感じた、とも言える。もう少し映画に浸っていたかったのに、その矢先に終わってしまった。なんとも珍しいケースだ。
とにかく、話の展開がワクワクする。1作目と同様に、主人公のタケミチは10年前の高校時代にタイムスリップする。ある理由から、不良集団・東京卍會のトップを目指すと豪語する。
卍會は一枚岩ではない。対立する組織のバルハラに寝返る者が出て、人間関係が入り乱れる。かの「仁義なき戦い」シリーズを彷彿させるような入り乱れ方が、めっぽう面白いのだ。しだいに総長のマイキーがその中心点にいるという話の構造である。
タケミチの北村巧海、マイキーの吉沢亮、ドラケンの山田裕貴、キサキの間宮祥太朗、キヨマサの鈴木伸之ら前作でお馴染みの面々の見せ場が、見事に振り分けられる。今回、初出演の卍會創設メンバー・永山絢斗と村上虹郎も加わり、不良「群像劇」としての側面を一段と強めた。成功の大きな理由のひとつである。
ところで最近、洋画を中心に、不必要に上映時間が長い作品が多い。その長さから、映画を見ることを避ける人が増えるのでないか。加えて年配者のトイレ時間の心配もあり、長い映画に疑問を呈したことがある。
今回は逆のケースだ。短すぎる。もう10分、20分は欲しかった。2部作の製作、公開は否定しないが、ある程度、納得、満足できるような話にもっていく。そこで、その続きに期待を抱かせるような作り方があるのではないか。
もしそれができないとなれば、たとえ2時間30分(否、それ以上)ほどあったとしても、1作品で完結させてもいい。コスト面や興行面なども考慮した製作側の2部作の思惑がどうであれ、やはり中身の密度が濃い「1本」「1本」が勝負となろう。
もちろん、後編は見に行く。俳優たちを見たいからだ。それほどこの作品の若手俳優たちは、今の日本映画の中で抜きん出た成果を見せている。前編を見た多くの観客も、そうあってほしいと思っている。
(大高宏雄)
映画ジャーナリスト。キネマ旬報「大高宏雄のファイト・シネクラブ」、毎日新聞「チャートの裏側」などを連載。新著「アメリカ映画に明日はあるか」(ハモニカブックス)など著書多数。1992年から毎年、独立系作品を中心とした映画賞「日本映画プロフェッショナル大賞(略称=日プロ大賞)」を主宰。2023年には32回目を迎える。