4月下旬、鹿児島県奄美大島の海岸に「カツオノカンムリ」と呼ばれる有毒クラゲが大量漂着したことが大きなニュースになった。カツオノカンムリの触手に刺されると、刺された部分が腫れたり痛んだりするものの、死に至ることはほんどないとされている。
一方、本州の太平洋沿岸には、このカツオノカンムリによく似ているが、これとは比べものにならないほどの強い毒性を持つ猛毒クラゲ「カツオノエボシ」が棲息している。
カツオノエボシは数メートルの長い触手を持ち、これに触れて刺されると、電気ショックを受けたような激しい痛みに襲われ、場合によってはそのまま死亡してしまうこともある。また、一度目は大丈夫でも、二度目に刺されると、アナフィラキシーショックを起こし、これまた死亡する危険性が指摘されている。
通称「電気クラゲ」として恐れられるゆえんだが、神奈川県の湘南ビーチで活動するライフセーバーも、次のように警告している。
「カツオノエボシは春から夏にかけて、海岸の近くにまで漂流してくることが多く、主に遊泳者やサーファーが被害に遭います。ですが、浜辺に打ち上げられたカツオノエボシも危険。死んだ個体の触手に触れても、刺されてしまうからです。浜遊びや磯遊びの際に、死んだカツオノエボシを見つけても、絶対に触ってはいけません」
実は昨年の夏にも、カツオノエボシが湘南ビーチ一帯の浜辺に漂着するという出来事があった。この時、例えば鎌倉市では、1日だけで68件のクラゲ被害が報告され、そのうち10人が救急搬送される事態に発展した。
カツオノエボシは、半透明の白っぽい風船のような頭部から、青い触手が垂れ下がったような姿をしている。浜辺に打ち上げられたその奇妙で美しい死骸を見て、子供たちが思わず触って被害に遭うケースが多発しているのだ。
もしも刺された時は、ピンセットなどで触手を静かに剥がし、速やかに医師の診察を受ける必要がある。
また、間違っても触手を素手で剥がしてはならない。患部を素手で触れると、素手にも触手が突き刺さり、被害を拡大させてしまうからだ。