鳴り物入りのゴールデンルーキーが、早くも本領を発揮している。「平成のドカベン」との異名まで付いた西武・森友哉(19)は、ベンチ裏の素顔も規格外の大物だった。
8月16日の日本ハム戦、延長10回に森はバックスクリーンへ同点ソロを打ち込み、3試合連続ホームランを成し遂げた。高卒新人としては、あの清原や松井でも果たせなかった46年ぶりの快挙である。
フレコミどおりの強打者ぶりを発揮する森の打棒について、スポーツライター・飯山満氏が語る。
「ストライクゾーンが広いうえ、どのコースもフルスイングできるんです。だから全方向90度に強い打球を飛ばしている。3連発もレフト、ライト、センターと打ち分けています。天性の腰の強さがその原動力だと思いますが、球に逆らわずレフトへ流し打った一発には、一流打者であることを再認識させられました」
そもそも期待値は高かった。大阪桐蔭で1年から正捕手を務めた森は、2年時に先輩の現阪神・藤浪晋太郎とバッテリーを組み、春夏連覇を達成している。
「でも、中学時代は野球だけでなく“その筋”からのスカウトもあったと噂されるほどヤンチャだったようで‥‥」
こう前置きして、在阪のスポーツ紙記者が明かす。
「ネット上にも特攻服を着た森の画像が流出していますが、いわゆるヤンキーだった。本人も『全部事実です』と認めています。一説には暴走族で勢力を振るい、地元では飽き足らず県外にまで出向いて“抗争”に明け暮れていたとか。中学時代には校長先生の乗用車を破壊したという真偽不明な逸話まである。とはいえ、高校入学後は好きな野球だけに邁進するようになった」
さて、ヤンキーとして培った根性は、野球にも発揮されているようだ。
「二軍では平気で先輩にタメ口をきいていましたが、『緊張したことがない』と自分で公言するほど度胸があって、リードでもガンガン内角を要求する。周囲に『僕がいちばん落ち着くのは打席。オアシスですよ』と豪語する姿からは、高卒1年目ながらプロの世界に飲まれる様子などまったくありませんね。両膝を深く曲げて低い位置で構える独特の打撃フォームに関してもキャンプ時から『自分のスタイルを変えるつもりはない』ときっぱり言い放っていた」(西武関係者)
森といえば身長170センチ、体重80キロのずんぐり体型と、強打者のキャッチャーということから漫画「ドカベン」の山田太郎と重ね合わされているが、身長に関しては本人もハンデと捉え、それをバネにしてきたようだ。
「実際には、160センチ台ではないですかね。高校時代、背が低いことでなめられたら、その相手の鼻っ柱をへし折るのが大好きだったそうで、『なめられたほうが燃えるよ』と話している。そんな闘争心の塊は、寮で同年代の選手たちを前に『弱いチームに来れてうれしい。俺が再建させるッ』と熱く語っていたそうです」(前出・西武関係者)
前出・飯山氏が言う。
「森は高校3年春にスタメンを外れましたが、ベンチから乗り出して声を上げチームを鼓舞していたんですよ。個人のメンツよりもチームの勝利を優先に考えるところも山田太郎とかぶりますね」
球道を突き進む、マイルドヤンキーの活躍はまだまだ果てしないだろう。