高市早苗経済安全保障担当相は5月17日更新の自身のツイートに、次のように書き込んだ。
〈5日分も溜まっていた内閣府の新聞切り抜きに、ようやく目を通しました。各分野のG7大臣会合が報じられている中、朝日新聞と東京新聞は、他の大臣会合の議長名(主催国である日本の大臣名)は記すも、科学技術大臣会合の議長名は書いていなかった。私は嫌われとるなぁ…〉
はたしてそうなのか。朝日新聞が好きな「ファクトチェック」をしてみた。
5月4日付朝刊を見ると、朝日新聞では〈G7科学技術相会合が仙台市で開かれ、13日に共同声明を公表した。自由で開放的な研究環境の意義を強調する一方、「一部の行為者が、開かれた研究環境を不当に利用、ゆがめ、研究結果を軍事的目的のために不正に流用しようとする」などと懸念を示した〉とある。確かに高市氏の名前はない。東京新聞も同様だった。
では、他紙はどうなのか。読売新聞を見ると、前文は似たような文章だったが〈研究結果の不正流用について、議長を務めた高市科技相は記者会見で「安全に、安心して国際研究協力が継続できるよう、懸念に対処することの必要性を確認した」と述べた〉と、高市氏の発言を引用している。産経新聞も高市氏の発言を使った。
論調が朝日新聞や東京新聞と同じ傾向とされる毎日新聞には、高市氏の名前はあった。朝日新聞を詳しく読むと、高市氏の名前は、G7の閣僚らが東北大学内の次世代放射光施設「ナノテラス」を見学した際に出てきた。
高市氏がつぶやいたように、朝日新聞や東京新聞が高市氏を嫌っているのかは、ここからは断定できないものの、靖国神社を参拝する高市氏とは当然、論調は異なる。特に朝日新聞は4月の奈良県知事選で、高市氏が自民党奈良県連会長として擁立した元総務省課長が敗北したことについて〈高市氏が残した禍根、自民分裂に責任論、放送法答弁が追い打ち〉との見出しで、高市氏の責任論を展開した。
ただ、〈「票を減らすので奈良入りはできません。今や世の中では悪人扱いですので」。知事選が告示された日の翌3月24日、高市氏は、放送法の政治的公平性をめぐる総務省の行政文書問題で国会で連日追及を受けるなか、そう周囲に自嘲気味に語った〉と書くなど、確かに「悪人扱い」しており、高市氏が「嫌われとるなぁ」との感想を持っても不思議ではないのである。