世界王者5人を輩出した米倉ボクシングジムの会長だった米倉健司氏が亡くなって、1カ月が経つ。
チャンピオンになった教え子は柴田国明、ガッツ石松、大橋秀行ら、誰もが知るスターである。元WBA世界ライトフライ級王者の渡嘉敷勝男氏が、自身のYouTubeチャンネル〈「渡嘉敷勝男公式」トカちゃんねる〉で、そんな米倉氏を悼んだのだが、
「ジムの会長としても米倉会長は素晴らしい人で、指導者としても素晴らしい人で、そして旦那さんとしても素晴らしい人だった。3つ揃った人って、なかなかいないと思いますけど…」
会長、指導者として素晴らしいのは分かるが、旦那として…というのは何か。渡嘉敷氏が明かしたのは「米倉会長はスゴイよ!」とビートたけしが感心したというエピソードだった。
「米倉会長は奥さんと結婚する時に、銀座の日本一高いフランス料理の店に必ず毎月連れて行くという約束をしたらしいんですよね。その約束をキチッと守ったと…」
後日、後楽園ホールの駐車場で顔を合わせた米倉夫妻に真偽を尋ねたところ、車の窓を開けた夫人が、
「本当よ。ちゃんと連れて行ってもらってるわよ」
米倉氏の座右の銘は「限りなき前進」。高齢と体調を理由に17年、ジムを閉鎖して一線から退いてはいたが、教え子たちがその遺志を継いでいる。
(所ひで/ユーチューブライター)