25年ぶりに5連敗を喫し、J1リーグ最下位に沈むガンバ大阪。名門復活を目指しながらも、ここ数年は迷走が続いている。昨季も残留争いに巻き込まれ、最終的には15位と、ギリギリで残留した。
今季も「ACL圏内」を目標に、思い切った補強を行った。日本代表GKの谷晃生を湘南へのレンタルから戻し、パリ五輪の主力であり3月に代表にも招集された半田陸を、山形から獲得。
パトリックが抜けた穴は、チュニジア代表のイッサム・ジェバリ獲得で埋めた。神戸に移籍した齊藤未月の代わりに、イスラエル代表のネタ・ラヴィを獲得。
昨夏には、残留するために食野亮太郎をポルトガルから戻し、元日本代表の鈴木武蔵をベルギーから獲得。さらに鹿島からファン・アラーノを加え、チームの顔でもある宇佐美貴史もいる。
メンバーだけを見れば、最下位にいる戦力ではない。だが、チームというのは生き物であって、いい選手を11人集めれば勝てるというものではない。現に昨季の神戸はあれだけのメンバーを揃えていながら、開幕から11試合勝ちなしという不名誉な記録を作ってしまった。ところが今季、ほとんどメンバーが変わらないのに、首位に立っている。それだけチーム作りというのは難しい。
では、今のガンバ大阪に何が起きているのか。勝てないチームは先制されると後手、後手に回り、ミスを繰り返す。何かのきっかけでチームは好転するが、今はそれが見当たらないのだ。
いや、それ以上に気になるのが、今季から指揮を執るダニエル・ポヤトス監督の手腕だ。徳島から引き抜く形で獲得したが、不安はなかったのか。
ポヤトス監督はスペインで若年層の監督経験はあるが、トップチームを率いた経験はない。若年層の監督は勝ち負けよりも、ひとりでも多くトップチームに送り出すのが仕事。一方でトップチームの監督は、結果を求められる。
唯一、パナシナイコス(ギリシャ)の監督を務めたことがあるが、開幕から1分け2敗で解任。このほか、徳島で2シーズン指揮を執ったぐらいだ。しかも1年目はJ1ながら、J2に降格。1年でJ1復帰を目指したものの、8位となって失敗している。そもそも徳島をJ1に昇格させたのはポヤトス監督ではなく、その後に浦和を率いたなったリカルド・ロドリゲス監督であり、トップチームでの実績はないのである。広島のミヒャエル ・スキッベ監督や浦和のマチェイ・スコルジャ監督の実績に比べれば、まだまだ経験不足だ。
いくらいいメンバーを揃えても、その人材を監督が使い切ることができなければ、チームは機能しないのではないか。
クラブはポヤトス監督続投を示したが、今週は5月24日にルヴァン杯(京都戦)もあり、交代は難しい。週末にはJ1に復帰した新潟戦がある。この2試合で結果を出せなければ、大きな決断が必要だ。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。