「ハツラツと伸び伸びというものがね、今のジャイアンツのレギュラーの連中に必要なものはそこでしょうね」
巨人の原辰徳監督が大絶賛したのは、6月3日の日本ハム戦で見せた、重信慎之介の「神走塁」だった。スポーツ紙デスクが解説する。
「同点の延長10回に、先頭打者でレフト前ヒット。その後の岡本和真のレフト線ツーベースで、1塁から一気にサヨナラのホームまで生還しました。この日は、代走で出場した8回にも、三盗からの一時勝ち越しのホームを踏んでいます。まさにスーパーサブの活躍でした」
15年ドラフト2位で、俊足巧打の大卒外野手として入団。8年目のシーズンを、開幕1軍で迎えた。ところが4月22日の実戦形式の練習中に、頭部への死球を受けて登録抹消。5月13日に再び1軍に合流したものの、起用されるのは代走や守備固めがメインだ。今回の活躍で外野のレギュラー争いに一歩前進したかと思いきや、あるジレンマが潜んでいたのである。
「守備走塁のスペシャリストの域を脱していません。というのも、3年目で打撃好調の秋広優人、ベテランの丸佳浩、身体能力抜群のブリンソンからスタメンを奪うほどの打撃力を持ち併せていない。本人は他チームでレギュラー争いをしたい気持ちがあることを、家族や友人に漏らしていたといいますが、毎シーズンのようにサブとして一定の活躍をしてしまうことが災いして、戦力外として放出されません。ただ、本人は飼い殺しにされている気持ちなのでしょう」(前出・スポーツ紙デスク)
とはいえ、全く悪い話ばかりではない。実はすでに引退後のレールが敷かれているようで、
「いわゆる『背広組』としてフロントに入ることが、半ば既定路線となっています。早稲田大学卒だけあって、物事の考え方や話し方が理路整然としており、読売本社サイドの覚えがめでたいんです。『しげガレージ』と題した自身のYouTubeチャンネルに今村司球団社長が出演したこともありましたね。案外、巨人に残った方が人生安泰かもしれません」(前出・スポーツ紙デスク)
エリート幹部候補生の選択や、いかに──。