通常国会の会期末を6月21日に控え、永田町、とりわけ与党・自民党内で解散風が激しく吹き始めている。衆院解散への狼煙が上がったのは6月3日のことだった。
この日、自民党の茂木敏充幹事長は熊本での講演で、次のように指摘。
「今年の秋に(衆院任期の)折り返し点を迎える。常在戦場は間違いない」
森山裕選対委員長も同日、札幌での講演に立つと、
「解散はいつあってもおかしくない」
と発言した。
さらに、翌4日に公表されたマスコミ各社の世論調査結果では、岸田総理の長男・翔太郎氏が不祥事で総理秘書官の職を解かれた直後にもかかわらず、G7広島サミットの成功で上昇した内閣支持率がほとんど下落していないことも判明。そうして迎えた5日、岸田総理は自民党役員会で、堂々とブチ上げてみせたのである。
「(今通常国会の)終盤、緊迫の度を加えた展開になることが予想される」
岸田総理をはじめ、自民党は一気に解散・総選挙へと突き進むのか。自民党執行部の幹部が言う。
「実は茂木幹事長も森山選対委員長も、早期解散には消極的。この点は麻生(太郎)さんや二階(俊博)さんも同じです。公明党も支持母体(創価学会)の選挙疲れ(統一地方選)から、早期解散には否定的です。自民党内には主戦論を唱える議員はいるものの、重鎮の中で早期解散に意欲を見せているのは岸田総理だけ、というのが実情です」
本サイトが4月27日に公開した記事でも指摘したように、岸田総理はこれまで「解散権を行使するとすれば、今年9月に召集する秋の臨時国会冒頭の一択」とのハラを固めていた。それが一転、早期解散に食指を動かし始めたのはなぜなのか。岸田総理に近い、岸田派の有力幹部が明かす。
「『長所は聞く力だけ』と揶揄されていた岸田総理は、G7広島サミットの成功で強い自信を取り戻した。そんな中、立憲民主党をはじめとする野党の一部は斎藤健法相に続き、財金委員長や財務相への問責決議案の提出、そして最終的には内閣不信任案の提出をチラつかせている。総理はこれを『対与党も含めて、強い総理をアピールする絶好の機会』と捉え、『内閣不信任案が提出されれば、会期末の21日に解散に踏み切る』と言い始めています」
野党第1党立憲民主党に、受けて立つ気概はあるのか。事態は緊迫している。