今週は菊花賞TR「セントライト記念」が新潟で行われる。比較的堅めの傾向の中、万券王・水戸はフェスティヴイェルで大穴を狙う。一方、阪神の秋華賞TR「ローズS」はヌーヴォレコルトとレッドリヴェールの2強争い。
菊花賞トライアル(3着までに本番の優先出走権が与えられる)のセントライト記念が今週のメイン。中山の代替として新潟で行われたのは過去2回。ともに堅く収まっているが、馬単が導入されてからの過去12回を振り返ってみても、馬単で万馬券になったのは4回(馬連では1回)。比較的順当に収まる重賞と見てよさそうだ(過去10年で1番人気馬は半数の5回連対を果たしている。1番人気3勝、2番人気は1勝)。
また新潟が舞台だけに、輸送に時間を要する中山と異なり、関西馬が多く登録してきた。これまでは関西馬が連に絡むと荒れるというデータがあり、そのへんは要注意。
とはいえ、今回は関西馬に有力どころが多く、そうはなるまいか。
いずれにせよフルゲート必至。今後、出世しそうな潜在能力の高い馬が多いこともあり、菊花賞をにらんで熱のこもった見応えあるレースが展開されること請け合いだ。
人気はどうだろう。皐月賞勝ち、ダービー2着のイスラボニータを筆頭に、皐月賞2着トゥザワールド、ダービー3着マイネルフロスト、GIIIファルコンS勝ちタガノグランパ(ダービー4着)、GII青葉賞勝ちショウナンラグーン(ダービー6着)といった既成勢力が有力どころで、彼らが人気を分け合うことになるはずだ。
いずれも早い段階で調教を開始しており、完調とは言えないまでも臨戦態勢はきっちりと整っている。ここを単なる“叩き台”と見るのは危険だろう。
が、そうはいっても新興勢力にも魅力ある馬は少なくない。既成勢力はいかにも強力だが、3歳の若駒は夏から秋にかけて成長期にあり、その勢いに乗じて──というケースは、よくあること。秘めた高い能力が開花し始める頃でもあり、断じて軽く見てはいけない。
穴党としては、そんな1頭であるフェスティヴイェルに期待を寄せてみたい。春から使いづめできているが、俗に言う“夏の上がり馬”らしく、目下の充実ぶりは目覚ましいものがある。
前走の出雲崎特別を振り返ってみよう。逃げたエルヴィスバローズが2着に粘った先行馬ペースの流れだったが、イェルはそれまでと違って、好位の馬ごみで折り合って追走。直線外に持ち出すと、強烈な末脚できっちりと差し切ってみせたのだ。メンバー中、最速の上がり脚であったことも付記しておこう。
この中間も順調そのもの。稽古の動きもパワフルになっている。
畠山吉調教師が目を細めて言う。
「ひ弱だった春とは別の馬のようにたくましくなっている。早くから期待していた素質馬。相手は一気に強くなるので強気にはなれないが、ヒケは取らない」
そうであれば、いよいよ楽しみではないか。まずは左回りがスムーズな点は強調しておきたいが、身上の息の長い末脚は、平坦で直線の長い新潟でこそフルに生きるというものだろう。
素質のよさは血統からもうかがい知れる。祖母マックスジーンは、米国産でエルコンドルパサーが勝ったジャパンC(98年)に参戦、見せ場を作って5着に頑張っている。GIでは少し足りず2着3回にとどまったが、北米のGIIを3勝した力量馬。母系そのものもよく、一族には欧州で活躍した馬が多い。
走りっぷりや血統から踏んで、荒れてきた今の新潟の芝も合っているはず。晴雨にかかわらず“一発”十分。大いに期待したい。
ローズSは、ディルガが狙い。3カ月半ぶりになるが、仕上がりよく、鉄砲駆けするタイプ。阪神は相性よく、大駆けがあっていい。
◆アサヒ芸能9/16発売(9/25号)より