北朝鮮が弾道ミサイルを発射するたびに、全国瞬時警報システム(Jアラート)が鳴り、政府は国民に避難を呼びかける。政府は2023年度、過去最多となる67回の国民保護訓練を行うのだが、この訓練の裏では「大きな防衛利権が動いている」との話が出ている。
「保護訓練を積み重ねるたびに、本当にミサイルが落下したら防ぎようがない現状への理解が広がる。そして地下シェルターの建設を求める国民世論が起きるのを、待っている人たちがいる」 と野党関係者は話す。「国民世論を待っている人たち」とは、岸田文雄総理を取り巻くゼネコン業界なのだという。
政府は2023年度からの5年間で、総額約43兆円の財源を確保して防衛体制を強化するが、これとは別に、主要都市に地下シェルターを作るとなれば、
「100兆円は超えるのではないか」(前出・野党関係者)
との推測がなされている。そしてそのうち20%が、ゼネコンの懐に入るかもしれないのだ。
政府は2023年度から毎年4兆円を投じ、北朝鮮などのミサイル攻撃を想定して司令部を地下に設置するなど、全国283の自衛隊基地の強靭化を図る事業を行う。
6月11日付の「しんぶん赤旗」日曜版によると、防衛省は昨年9月に予算が成立する前にもかかわらず、一部ゼネコンを対象に、同事業の意見交換会を実施。受注可能な件数や金額、希望する発注方式を、アンケート方式で調査していた。つまり、事前に「談合」したかのように、ゼネコン各社に受注額を「割り振った」上で、予算を決めていたのだ。
そして同時期に、岸田総理とゼネコン各社で作る「信雄会」の会合が都内のホテルで行われ、これに岸田総理も参加、親密に意見交換したという。
北朝鮮のミサイルの恐怖を煽って、巨額の防衛予算を決めた裏で、儲ける人はしっかり儲けるのだ。
「基地の地下化に目途が立てば、今度は行政機能の地下化にとりかかる。実績を作ったゼネコンは、有利に商売を進められますよね」
防衛ジャーナリストは、そう指摘するのだ。国民はこれを知って、どう感じるのか。
(健田ミナミ)