ロシアのプーチン大統領が画策する残虐非道の撤退作戦は、ザポリージャ原発の爆破計画だけではなかった。戦慄作戦の第2弾は、地雷の敷設と地雷原の流動化だ。
ロシア軍は占領したウクライナ4州の最前線に長大な防衛ライン築いて、ウクライナ軍による反転攻勢に備えてきた。だが、ロシア軍がその防衛ラインの周辺に夥しい数の地雷を敷設してきたことは、あまり知られていない。
ウクライナ侵攻をウォッチしてきた軍事アナリストが明かす。
「ロシア軍が構築した防衛ラインの周辺は、地雷原だらけと言っても過言ではありません。そのため、ウクライナ軍は地雷を慎重に除去してからの前線突破を余儀なくされ、それが大規模反転攻勢のスピードを鈍らせる重大なネックになってきたのです」
言うまでもなく、地雷の敷設は対人地雷禁止条約、いわゆるオタワ条約に違反する「禁じ手」である。だが、プーチンが犯した戦争犯罪は、地雷の敷設だけではなかった。
ウクライナ南部のヘルソン州にあるカホフカ水力発電所ダムの破壊も、プーチンが地雷原を流動化すべく命じた、撤退作戦だったというのだ。
「ロシア軍によるカホフカダムの破壊は、ドニプロ川の下流域に大洪水を引き起こすとともに、地雷原に埋設されていた大量の地雷を押し流しました。プーチンは下流域全体をどこに地雷があるかわからない無秩序な地雷原とすることで、撤退するロシア軍をウクライナ軍が迂闊に追撃できない状況を作り出そうとしたわけです」(前出・軍事アナリスト)
地雷原の移動は、当該地域の住民にも甚大な被害をもたらす。また、仮に戦争が終結したとしても、地雷の除去には気の遠くなるような労力と時間が必要になるのだ。
まさに正気の沙汰とは思えない、悪魔の所業と言っていいだろう。