Jリーグも前半戦を折り返し、後半戦に突入した。優勝争いもかなりチームが絞られてきた感じはするが、例年、それ以上に熾烈といわれる「残留争い」も絞られてきた。
ただ、今季の残留争いはいつもと違う。例年ならJ1の下位2チームが自動降格し、1チームはプレーオフに出場することになり、最大3チームがJ2に降格した。ところが今季、J2に降格するのは1チームのみ。その屈辱を味わうチームはどこなのか。
第20節終了時では16位の柏レイソル、17位の横浜FC(共に勝ち点14)、18位の湘南ベルマーレ(勝ち点13)の3チームに絞られ、15位の京都は勝ち点20と差があり、降格圏からは脱したと見てよさそうだ。
3チームが下位に沈んでいる理由は言うまでもなく勝てないこと。柏は9試合勝ちなし。横浜FCは開幕から10試合勝ちなしで始まり、ここにきて6試合勝ちなし。湘南に至っては4月1日のG大阪戦以来14試合勝ちなし。勝利数はそれぞれ柏2勝、横浜FC3勝、湘南2勝と残留争いをしても仕方がない数字だ。
もちろん各チームに課題はある。柏は14節の神戸戦からネルシーニョ監督に代わって井原正巳監督が就任。就任以来7試合勝利がないが、僅差の試合も多く内容は決して悪くない。ただ、試合の終わらせ方が悪く、逃げ切ることができない。打ち合いとなった札幌戦は3-4とリードされ、アディショナルタイムで追いついたものの、その2分後に決勝ゴールを決められている。横浜F・マリノス戦は3-2でリードしながらも終盤に退場者を出すと、アディショナルタイムに2失点して逆転負け。先日の湘南戦も1-0でリードしていたにもかかわらず、終盤に退場者を出しアディショナルタイムに追いつかれ勝ち星を逃した。
横浜FCは決定力不足。総得点14はリーグ最少。良いサッカーをしてチャンスを作っても決めきれない。そこが最大の課題。しかもJ1昇格の立役者となったストライカー・小川航基が今夏欧州に移籍したのも痛い。
湘南は攻守のバランスが崩れている。特に鳥栖、浦和、横浜FMの3連戦で14失点はありえない。ここも横浜FC同様、エースの町野修斗が今夏海外移籍。戦力ダウンは否めない。
ただJ1は7月16日の21節終了後、約3週間の中断期間に入る。ケガ人も戻ってくるし、もう一度、自分たちのサッカーを再確認してチームを立て直すこともできる。さらに、湘南が鹿島からDFキム・ミンテを獲得したように夏の移籍期間でもある。チームに足りないところを補強することもできる。
つまり、この3週間の使い方が残留争い脱出の大きなカギを握るといえる。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。