体温以上の気温を連日記録する酷暑が続いている。病院や介護施設では体調のすぐれない病人や高齢者に、どんな食事を提供しているのか。
毎夏、病院食や学校の給食で大人気の裏メニューがある。「カップ入りガリガリ君」だ。ホスピス勤務の看護師が言う。
「末期ガンで食事を摂れない人でも、ガリガリ君なら二口、三口食べられる。しかもバーと違って、カップ入りだと冷凍庫に入れて少しずつ食べられるのです。最後の晩餐は『うな重』や『握り寿司』よりガリガリ君という患者さんは多いです」
筆者が勤務していた老人施設でも、夏の間は「ガリガリ君」だけを食べて生きてる高齢者がいた。
学校の給食メニューで好きな献立アンケートをとると「カップ入りガリガリ君」は「七夕ゼリー」「溶けないムース」「冷凍パイン/冷凍りんご」「アイスクレープ」「シューアイス」と並ぶ「給食デザート神7」にランクインしている。
ところがこれは「ガリガリ君」を販売する赤城乳業の公式サイトには掲載されていない。購入したい場合は、ごく一部の施設向けの業者に頼まないと注文できないのだ。これはどういうことなのか。赤城乳業の広報に尋ねたところ、
「本商品は学校・幼稚園、高齢者施設、病院などを含めた給食用商品としております。本商品に関しては、製造販売を協力会社に委託しています」
つまり、給食用の「ジェネリックガリガリ君」らしいのだ。本当に裏メニュー、幻のメニューだった。
この季節は冷たいものを食べて、体の中から冷やすことも大事。特に病人や高齢者が口から食べたり飲んだりするのをやめて点滴に依存すると消化機能が格段に落ち、涼しくなった時に口から食事を食べられなくなることもある。糖分制限のない人は、1日1つか2つ程度なら罪悪感なく、冷菓や果物を食べてほしい。
(那須優子/医療ジャーナリスト)