小池百合子都知事が長年の夢であった「総理の椅子」を諦め、都知事三選出馬に向け動き始めたという。
小池氏が顧問の都民ファーストの会関係者が語る。
「小池さんが以前、都知事の後に国政へ復帰し日本初の女性総理を目指していたのは事実です。しかし昨年7月、安倍晋三元総理が亡くなったことに相当ショックを受けたようで、その辺りから意欲を失いつつあった。そしてつい最近、複数の側近に都知事3選に向けて動く旨を漏らしたようです。もちろん表向きはまだ一切ノーコメントですが」
それほど安倍氏の急逝は小池氏に衝撃を与えたということか。理由を自民党関係者はこう言う。
「安倍さんは小池さんを高く評価し、小池さんも安倍さんに政治家として敬意を抱いていた。その証に安倍さんは2007年の第一次政権の際、彼女を女性初の防衛大臣に抜擢している。しかもその前年には日本版NSCの国家安全保障担当(内閣総理大臣補佐官)に任命したほどですからね」
NSCとはアメリカにおいて、国家安全保障と外交政策に関する最高意思決定機関で、国家危機の際に機能する。日本でも有事などを想定し早期の日本版NSCの必要性が問われていた。設立に強い意欲を示したのが安倍氏で、13年に設立にこぎつけている。その旗振り役として、小池氏が抜擢されたのだ。自民党長老が言う。
「安倍さんは小池さんが日本の国防や安全保障に関し自分と近い考えを持っているとして、個人的にも能力を高く評価していた。それは彼女が自民党を離党してからも変わらなかった。また一方で『彼女はジョーカーだ』などとも評している。政治家としては最高の誉め言葉ですよ」
「ジョーカー」とは、小池氏が動くことで政治の流れが思う方向にガラリと変わること。安倍氏はそれほど小池氏を買っていたということだ。
「その安倍さんが急逝したことで、小池さんの中に大きな変化があったのかもしれない」(前出・自民党関係者)
とはいえ小池氏の「ジョーカー」としての力は衰えてない。都知事の人気満了まであと1年。突然にして「やはり国政に戻ってガラスの天井を破りテッペンを目指す」などと言い出しても何ら不思議はないが、果たして。
(田村建光)