今年で105回目を迎えた全国高校野球選手権「夏の甲子園」。
大会3日目(8月8日)には今秋のドラフト会議で注目の一人、花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手が登場。チームは宇部鴻城(山口)を破って8年ぶりの白星をあげ、佐々木自身は「3番一塁」で先発出場し、本塁打はなかったものの3打数3安打1打点と存在感を放った。
大会前、高校通算140発のスラッガーは「自分の結果がどうこうより、チームが勝つことを考えてプレーしたい」と話している。その話題性は過去の有名球児たちに匹敵するものがある。何しろ花巻東は二刀流の大谷翔平の母校。さらに中学時代の佐々木を二人三脚で指導したのが、大谷の父・徹さんである。
徹さんが監督を務める「金ヶ崎リトルシニア」の中心選手として、佐々木は投手兼三塁手の「二刀流」として育成を受けた。徹さんは大谷と同じ左打ちの佐々木について、花巻東に入学してから「左中間方向に打てるようになってから打撃が多いに伸びた」と評価しているという。
佐々木にとって初出場となった2年生春以来の甲子園となるが、初出場は4打数無安打で初戦敗退。今回の県予選の岩手県大会でも5試合15打席5安打2打点もノーアーチに終わっている。
そこで気になることがある。
いずれにせよ甲子園での結果が、プロ野球各球団のスカウトが口にするのは、今年の夏の甲子園は「不作」ということ。今年のセンバツ優勝の山梨学院、準優勝の報徳学園(兵庫)を筆頭に、有力校が相次いで予選敗退。夏の甲子園はドラフト候補の最後のチェックの場だが、「今年は球場には行かない」と話すスカウトも多い異常事態となっている。そんな中で注目を一身に背負っている佐々木だが、
「岩手県大会の決勝戦の時に、現場で視察していた球団スカウトはわずか3球団。過去に高校野球で注目された選手でこれだけ少ないのは初めて」(高校野球担当記者)
いずれにせよ今年の夏の甲子園での結果が、佐々木の今後の野球人生を大きく左右することは間違いない。
(小田龍司)