まだまだ怒りは収まっていない。阪神の岡田彰布監督のことである。8月18日のDeNA戦で審判の判定に激高して詰め寄り、その後も会見を拒否。一夜明けた19日は仕切り直すとみられたが、さにあらず。試合直前に本塁前で三浦大輔監督を交えた先発メンバー表の交換後、普段なら審判団4人と握手を交わすはずだったが、これを拒否したのだ。
怒りの根源となった問題の試合を振り返ろう。9回一死から佐藤輝明が右前打で出塁すると、すぐさま代走に俊足の熊谷敬宥を送る。続く代打・糸原健斗のカウント1ストライク2ボールからの4球目、判定はボールで熊谷はそのまま二盗を試みるも、DeNAの京田陽太がベース前を足でふさいで体をぶつける格好でこれを阻止。判定はセーフになったが、三浦監督のリクエストによるリプレー検証の結果、審判団が「走塁妨害でもないためアウト」と覆ったのだ。
これに岡田監督が説明を求めて猛抗議。試合後に大噴火したのである。待ち構える報道陣に「しゃべることなんかないわ。もうええわ!」と言い放ち、会見を拒否したのだった。
阪神ファンもこの騒動を引きずったままだ。19日のスタメン発表時には、6番ファーストで京田の名前がコールされると、レフトスタンドの阪神ファンを中心に、大きなブーイングが沸き起こる。審判団の紹介では敷田直人審判の名前が紹介された際、再び場内が大荒れに。
いや、実はDeNAサイドも、これに「加担」していた。球団制作の中継映像では、京田が打席に入るたびにブーイングが飛んだが、これをわざわざ球場を俯瞰した映像に切り替えて紹介。さらには騒動があった二塁ベースや、代走で京田と交錯した熊谷がベンチで戦況を見つめる様子をアップで映し出した。球界関係者が言う。
「中継を制作しているのは委託先のTBSですが、明らかに両球団の対立構造を煽っている。これをDeNAは許容している格好です。6月、岡田監督にイベントをコキ下ろされたことを根に持っているようですね」
試合中のイベントが長すぎることに岡田監督が「野球と関係ないものが多すぎる」と複数回、苦言を呈したことを指しているのだが、こうなったらもう「遺恨マッチ」として売り出すほかないのかもしれない。