独裁者プーチンは「暗殺」や「クーデター」に加え、不慮の「病死」に対しても、神経を尖らせてきた。中でも2019年から世界的大流行が始まった新型コロナに対しては、常軌を逸した異常な警戒感を示してきたという。
その尋常ならざる警戒ぶりとは、具体的にどのようなものか。この点について昨年10月、トルコに亡命したFSO(ロシア連邦警護庁)の元情報将校グレブ・カラクロフ氏は、ロシアの犯罪活動などを追跡する機関の調査に対して、
「以前のプーチン大統領は活気に満ちて活動的だったが、コロナ禍以降、自身を世の中から完全に遮断する生活を送るようになった」
と指摘した。その上で「コロナ恐怖症」とでも呼ぶべき異常極まる行動について、以下のように暴露している。
●プーチンと接触する機会が多い大統領補佐官に対しては、1日に何度もPCR検査を受けさせていた
●わずか15分程度の職務上の接触であっても、クレムリン(ロシア大統領府)の職員に対しては2週間の厳格な隔離を義務づけていた
●プーチンと同じ部屋で仕事ができるのは、2週間の隔離を経た職員だけだった
●コロナ禍以降、プーチンはシェルターに身を置き、出張も年数回程度にまで激減した
そして、このような遮断生活の結果、現実を把握することが次第に困難となり、ウクライナ侵攻という暴挙に及んだと、カラクロフ氏は断言している。
「ロシア国内のSNS上では、コロナを恐れて地下に身を潜めているプーチンに対して『ブンケルヌイ・ジェード』と揶揄する声が上がりました。これを日本語に訳すと『穴倉爺さん』になります(笑)。ロシア国民は、プーチンが小心で臆病な独裁者であることを、ハナから見抜いていたのです」(ロシア専門家)
まさに「幽霊の正体見たり枯れ尾花」である。
(おわり)