自軍の主力選手が相次いでヤクルトから死球攻撃を受け、阪神・岡田彰布監督の怒りが沸騰した。9月3日の試合で9回、山本大貴から右脇腹付近に当てられた近本光司はその場にうずくまり、無念の交代。7月にも死球を受けて骨折した箇所である。ヤクルトは8月13日に、梅野隆太郎にも左手首骨折の死球を与えている因縁の相手だ。
これだけでも十分に不穏な展開だが、「事件」はこの後に起きた。山本がなんとか無失点で切り抜けると、場内に「ナイスピッチング!」のアナウンスが響いたのだ。スタジアムDJのパトリック・ユウがいつも通りのアナウンスを展開したのだが、タイミングは最悪だった。これによって、観客席からは一気に怒号が噴出することになった。球場にいた燕ファンが振り返る。
「この瞬間、ブチ切れた阪神ファンが『いい加減にしろ!』『空気読めよ!』と激高していました。普段は一塁側内野席からアナウンスして、場内の空気をつかむのが上手いパトリックですが、この日ばかりは見誤りましたね」
洗練されたスタジアムDJで知られるパトリックだが、出身地は阪神のおひざ元。
「神戸市内で生まれ育ち、クラブDJから地元FM局、名古屋のFM局を経て、ヤクルトのスタジアムDJに抜擢されました。合いの手を入れたり、つば九郎との掛け合いをほぼ即興で編み出したアイデアマンです」(ヤクルト関係者)
関西弁で平身低頭に謝れば、虎党もきっと怒りを鎮めてくれるはず…だ。