球団史上初の2年連続最下位の可能性が濃厚な中日ドラゴンズで、立浪和義監督の来季続投が早々に決まった。その翌日の9月16日、立浪監督はバンテリンドームナゴヤで取材に応じ、3年契約の最終年に向けて「全てにおいて課題がある。もう1年、必死にやっていけたら」と意気込みを口にした。ところが中日スポーツの名物コラム「渋谷真コラム・龍の背に乗って」では、〈最初にやるべきことはミスタードラゴンズの看板を自ら下ろすことだと思う〉と厳しい指摘が展開された。地元・名古屋では、中日ファンから「身内なのにここまで厳しいことを書くか」との声も上がっている。
このコラムでは〈ボスでなくリーダーに…続投決まった中日・立浪監督 まずすべきは“ミスタードラゴンズ”の看板下ろすこと〉との見出しに続き、立浪監督の考えが選手に全く伝わっていないことを辛辣に指摘した。
〈正しいことであったとしてもそれを選手もできるかどうかが別問題なのは、この2年間が証明している。仏の道を理解する前の人間に難しい経文を聞かせ、物理学を学び始めたばかりの人間に相対性理論を説くようなものではないだろうか?〉
立浪監督の言葉が「難しい経文」「相対性理論」というのは、実に厳しい言い方だ。選手を甘やかすということではない。自分の考えを伝える術が、あまりにも未熟ではないのかということだ。立浪監督が「どうなりたいか」が選手に伝わっていないというのである。スポーツ紙デスクが言う。
「駒不足ももちろんありますが、2年経っても立浪野球が見えてきません。四球も安打と一緒と決めて選手に伝えた阪神の岡田彰布監督とは対照的です。今のドラゴンズの選手のレベルだと、監督が主将を兼ねるような明るいリーダーシップが必要ですが、いまだ立浪監督はスター選手のままですからね」
中日には「立浪渋滞」という伝説がある。立浪監督が選手時代だった頃、オフの球団ゴルフコンペの帰り、先頭を走る立浪監督の車を誰も追い抜けないため、数十台の車が後に連なり、自然渋滞が発生したというのだ。今でも球団内では、立浪監督は絶対的な立場だ。その地位から降りて、来季こそ変わる必要があるということなのである。
(健田ミナミ)