9月8日午後11時過ぎにモロッコを襲った、マグニチュード6.8の大規模地震。国営メディアの報道によれば、9月14日時点での死者は3000人にも及び、その数はさらに増えているという。
原因の調査にあたるアメリカ地質調査所(USGS)によれば、震源の深さは18キロ。モロッコはアフリカプレートとユーラシアプレートの境界付近に位置しているため、そこにある岩盤が何らかの理由でずり上がったか、あるいは横ずれしたことにより大規模な揺れが発生した可能性が高いと推測されている。
実は現地住民の間では、地震が発生する少し前の上空に「見たことのないような青い閃光が走った」との目撃証言が続出。SNS上にも、地平線上にくっきり映る青い光の動画がアップされ、波紋が広がっている。地震問題に詳しい科学ジャーナリストが語る。
「この光はメキシコやトルコ・シリア地震の際にも見られた『地震光』という大気中の発光現象ですが、その原理をめぐっては地震地質学者や地球物理学者の間で様々な意見があり、正体がはっきりしません。USGSによれば、これは古代ギリシャ時代から世紀をまたいで確認されている現象で、長年、多くの研究者たちの調査対象となり、数多くの論文が発表されています」
元USGSの研究員だったジョン・デール氏が2014年に発表した論文によれば、同氏の研究チームが、欧米で発生した地震光のデータを1600年前にまで遡って分析。すると地震光の約80%はマグニチュード5.0以上の地震で観測されており、大半が地震発生直前か、あるいは揺れている最中に出現していることが判明した。現象の目撃範囲が、震源から600キロ以内に限られることもわかった。
「つまりこの光は、地殻プレートの内側で発生していたということ。さらに多く発生しているのが、地殻が壊れてできた溝付近だった。このことから、岩盤内にある不純物が大地震の圧力を受け、瞬間的に分解されて電気を発生する、との仮説が生まれたのです」(前出・科学ジャーナリスト)
大地震の際にのみ発生するだけに、できれば見たくないものだが、次はまた世界のどこかで目撃されるのかもしれない。
(ジョン・ドゥ)