連載731 天才テリー伊藤対談「オフレコ厳禁」
「友達の詩」で07年の紅白に出場し、その名を全国に広めた中村中も今年5周年。その5年の間に定着した“おネエ”キャラについては「チャンスがある時は出るべき」と冷静に話す。そんな中村が持つ独特な歌の世界観はいかに作られたのか、天才テリーがルーツに迫った!
ゲスト 中村中(なかむら・あたる)
1985年生まれ、東京都出身。06年6月にシングル「汚れた下着」でデビュー。同年9月に性同一性障害であることを公表した。07年には紅白歌合戦に紅組で出場した。今年デビュー5周年を迎え、それを記念したライブ「ソロバン」を12月17日・18日に東京グローブ座にて開催。http://ataru-atariya.com/
テリー 今、好きになったら男も女も関係ないって人が増えてないですか。
中村 増えてます。でも、今までもいたけど、それを外に言うようになったんじゃないかって私は思うんですよ。だから、数は変わってないような気がします。
テリー あ、数は変わってない。
中村 だって、ずっと昔からそういう文化はあったじゃないですか。それを公にできるかどうかっていうのが変わってきたんだと思うんですよ。例えばテレビにおネエキャラが出てるのもそうですよね。
テリー 今、いっぱい出てますね。ああいうのを見てて、どう思うんですか。
中村 私はチャンスがある時は出るべきだと思うんですよ。ああいう人たちはお店にいたり、どうしても夜のイメージがありますよね。だから、隠れてる美学みたいなものもあるなと思ったんですけど、私たちにフォーカスが当たるチャンスっていうのは逃がしちゃいけないと思うし。
テリー はるな愛みたいにバラエティっぽいのもいるし、美輪(明宏)さんみたいにアーティストの人もいるし、いろんな形があるのがいいですよね。
中村 確かにそうですね。言われてみると、うまく散らばってるというか。
テリー 佐藤かよとか椿姫彩菜は元男っていうのを一切見せないけど、はるな愛は大西賢治に戻ったりするし。
中村 「おネエキャラ」っていっしょくたにされがちですけど、人間だっていろんな種類があるじゃないですか。野菜を食べられない人もいれば、高所恐怖症の人もいるし。今は広がりが出て、十人十色っていう感じが出てていいですよね。
テリー なるほど。今年デビュー5周年ということですが、この5年を振り返ってどうですか。
中村 5年というと、始まったばっかりじゃないですか。特に前半は、仕事の内容をまず理解するのが難しかったりしたんですよ。
テリー 例えば、どういうことですか。
中村 歌じゃないお仕事とか。
テリー あ、インタビューを受けるとかね。
中村 バラエティ番組でコメントするとか。歌とは“違う筋肉”を使う感じがあるんです。
テリー あと、思考回路が違うよね。
中村 それに戸惑ってましたけど、いろんなものが全部歌に返ってくるというか、全部糧になるというのが、この5年間で学んだことですね。例えば、お笑い芸人の人とお話をしたり、演技する人とお話をしたりする中から得るものが凄くあるなって。
テリー 具体的に、この人のここが参考になったとかあります?
中村 私はよく演劇を見に行って、鈴木杏さんは仲もよくて、いちばん身近にいる女優さんですから、彼女の舞台は欠かさずに見るんですけど、演じる役によってハツラツとした人になったり暗い人になったりするんです。歌の主人公も元気だったり移ろっていたりするじゃないですか。そういう部分で影響を受けますね。