スポーツ

アントニオ猪木「元祖セメントプロレスラー」の真実(2)「俺はもう先生に負けない」

 日プロから東京プロレスを経て、新日本プロレスまで、1年先輩の猪木と行動を共にした北沢幹之氏が、その強さを語る。

「自分が日プロに入門した頃から、選手はみんな嫌がって猪木さんと練習しなかった。猪木さんの強さは別格でしたから。練習相手がいないから、いつも自分が駆り出されていたんですけど、こんな強い人いるのかなって思うくらい強くて。おかげで、自分も他の選手に腕なんか極められたことなかったですよ。どうして急速に強くなったのかというと、力道山先生に滅茶苦茶しごかれたからなんだそうですが、『でも、俺はもう先生に負けないんだ』って言っていましたね」

 セメントの実力を一段と飛躍させたのが、68~69年に日プロでコーチを務めた 〝プロレスの神様〟カール・ゴッチによる指導。自分の骨の硬い部分を相手の骨の弱い部分に押し当てたり、捻りを入れたり、擦ったりする体の構造を重視した理詰めの攻め、どんな手を使ってでも貪欲に勝つ、という格闘テクニックを身につけた。

「猪木さんは、正当な技術よりも悪いことだけ教わって、マネしていました。目を抉えぐったり、鼻を曲げたり、口を裂いたり、指を簡単に折ったりするコツをです。目を抉るにもテクニックがあって、ただ指を突っ込んでもできません。目の下のくぼみなんかは極められたら我慢できず、そういうことを学んでいました。ゴッチさんとは師弟関係ということになっていますが、一緒に練習を始める前から猪木さんはすでに強くて、サブミッションでも互角の技術を持っていたから、ゴッチさんにも極められることはなかった。相手が何を仕掛けてきてもいいように、裏技を学んでいたんです。一度、アメリカの元アマレスヘビー級王者で、140キロもあるビル・ミラーとガチンコでスパーリングをやって、一本だけ取られたことを後々まで気にしているような人でしたからね」(北沢氏)

 ゴッチ特有の相手を倒すことだけを目的にした動きを学び、それを毎日のスパーリングで独自の工夫を重ね、そこで身につけた技が格闘家としての強さと自信の根拠になっているのだという。

 ちなみに北沢氏は若手時代、誤解を受けてゴッチから1時間半にわたるスパーリング制裁をされた。裏技を駆使した凄惨な仕置きだったにもかかわらず、最後まで関節を極めさせなかったという逸話を残している。リングスでレフェリーをしていた頃もエース格の外国人選手でコマンドサンボの猛者、ヴォルク・ハンとのスパーリングで一度も極めさせなかったそうだ。

「猪木さんにスパーリングの相手をしていただいたおかげです。よく比較されましたが、ビル・ロビンソンの実力も、裏技も含めれば猪木さんの足元には及ばなかった。もし全盛時に総合の試合が開催されていたら、間違いなく出場していたでしょうね。プロレスラーとして、そういう覚悟のようなものを持っていました。それでもし不利になったら、何でも仕掛けますよ。ゴッチさんに教わったから、悪いことは何でもできますからね」(北沢氏)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
大谷翔平「MVP受賞映像」で「真美子夫人の妊娠説」が噴出したワケ
2
大谷翔平「3度目のメジャーMVP」でもかなわない「凱旋帰国」の高すぎるハードルと「出禁」問題
3
なんだこりゃ!岡田将生の電撃結婚を「完全スルー」した「めざましテレビ」の担当は元カノ鈴木唯アナ
4
東京ドームで観客半分の「プレミア12」にサッカーファンが「シラケる」挑発バトル
5
マイルCS大的中の馬券師が断言!ジャパンカップ「勝つのはドウデュース以外の日本馬」「買える外国馬は1頭だけ」