NHK「ニュース7」が先駆けて報じ、大問題になっているジャニーズ記者会見の「質問指名NGリスト」。元NHKアナウンサーの堀潤は民放各社の「NGリスト後追い報道」が落ち着いた10月5日未明にXの公式アカウントで、自身も「八百長会見」のオファーを受けたことがあると暴露した。
〈「この人とこの人に当ててください、この席に座っている人たちは当てなくていいです」と事前に広報社員が説明するので、会見がはじまって早速「当てなくていいです」という席の記者さんを指名したら、聞きたかった質問をずばり。「取引先のサプライチェーンに人権侵害が疑われている地域が含まれていますが見直しますか?」と。社長はタジタジでしたが、いい会見になりました〉
なんとも生々しい告白だが、これに追随するのは、とあるフリーアナだ。
「NHKには官僚以上に官僚っぽいと揶揄される社風があります。元NHKアナウンサーは全国的知名度がある上に、企業に従順なイメージから、上場企業の株主総会の司会オファーがきます。株主総会にも村上ファンドのような物言う株主や総会屋対策のNGリストが存在している。今回のジャニーズ事務所の記者会見は『株主総会シフト』そのものです。外資系コンサルタント会社が暴走したというより、日系企業の悪習を踏襲したにすぎません」
日系企業が手のひら返しでジャニーズ事務所を批判する筋合いはない、というのだ。
堀の暴露はNHKの元同僚にも及んだ。
〈NHK職員時代、NW9で大手自動車メーカーの事件関連の会見に取材に行ったら、自動車クラブに属する同僚記者から「堀さんは何の質問をするんですか?あ、その質問は多分答えないですよ。」とまるで企業側の担当者のような説明ぶり。会見始まっても全然当てられないので、結局立ち上がって手を振ったら指名してもらえました〉
〈この一連の文書などが事実であれば、今回の会見仕切りの司会者はもっと「公共」に寄り添って欲しかったなと〉
問題の会見の司会者は、NHKの先輩で現在はフリーの松本和也だ。
「NGリスト」は司会者にも渡っていたことがわかっている。会見の途中、松本は「顔がわからなくなってきた…」というボヤキがマイクに拾われていた。もしも会見前にNGリストの存在を知っていた井ノ原快彦や、法令遵守担当の山田将之弁護士、松本がNGリストの6人を真っ先に指名した上で「1人1問ですから」と牽制しながら会見進行していたら…。ジャニーズ事務所がさらに信用を失うことにはならなかっただろう。
(那須優子)