将棋タイトル八冠制覇がかかる運命の日、10月11日の王座戦第4局を前に、藤井聡太七冠は10月7日の第36期竜王戦七番勝負第1局(東京都渋谷区・セルリアンタワー能楽堂)で同級生の挑戦者・伊藤匠七段を82手で退け、竜王3連覇と王座戦タイトルに弾みをつけた。
7日の対局は苦手とする後手番ながら、伊藤七段を圧勝。そんな藤井七冠の敵は「今年の異常気象」かもしれないのだ。
対局のたびに話題になる「勝負メシ」と「勝負おやつ」。藤井七冠の地元・愛知県の名物、名古屋コーチンの卵を使ったプリンをババロアで包み、スポンジ生地をまぶした生菓子「ぴよりん」は、2021年6月29日に名古屋市で開催された王位戦第1局で、藤井七冠が「ぴよりんアイス」を食べたことがキッカケで大ブレイク。売り上げは対局後、5倍に伸びた。需給に供給が追いついていないことから、「ぴよりん」を製造販売するジェイアール東海フードサービス(名古屋市)は今年9月、ぴよりんの製造工房を現在の名古屋市から愛知県春日井市に移転。1日あたりの製造数を2倍にして、直営店も新設することを発表したばかりだ。対局のおやつに食べただけでスイーツ工場を新設するほどの影響力だ。
そんな藤井七冠の好物は、洋菓子の王道「ショートケーキ」と「モンブラン」。冬から春にかけてはイチゴのスイーツ、秋は栗のスイーツを注文することが多い。
冒頭の第36期竜王戦七番勝負第1局初日も、藤井七冠は午後のおやつにモンブランを注文。昨年の竜王戦第4局でも、藤井七冠は「モンブラン 丹波富士」を頼んでいる。
ところが今年は梅雨明けからの猛暑と雨不足により、クリの産地である長野県小布施や岐阜県恵那で記録的な不作となっている。北海道や東北ではお腹を空かせた野生のクマが里に降りてくる事件が続き、全国的に今年の栗拾いを中止にする観光農園も相次いでいる。2年連続で記録的不作が続いた京都の丹波栗は、今年は例年並みの収穫量が見込めるものの、出来は小粒だという。
王座戦第4局の対局会場は、これまでも名勝負が繰り広げられた、京都市東山区のウェスティン都ホテル京都。例年であればこの季節、同ホテルは丹波栗と宇治茶をふんだんに使ったアフタヌーンティーやスイーツを提供しているのだが、前人未到の記録に挑む藤井七冠を満足させられる好物の丹波栗スイーツは登場するだろうか。
(那須優子)