南米エクアドルで葬儀中、棺が「ガタガタ」と音を立てていることに親族が気が付き、棺の中で息をしている女性を発見。棺の中にいた76歳の女性は数日前、入院先で心肺停止で死亡宣告され、葬儀の最中に蘇生したようだった。この騒動は今年6月に、地元で大きなニュースとして報じられた。
昔から葬儀中に死者が目を覚ます、という事例は世界各地で報告されているが、遺体の入った棺そのものが移動したとして、200年以上経った今も謎に包まれた事件がある。それが19世紀初め、カリブ海に浮かぶバルバドス島で起こった伝説の怪奇現象「バルバドスの動く棺桶」である。
舞台となったのは、キリスト教教会墓地にある、チェイス家が管理する地下墓所。1812年7月、そこに10歳になる少女の遺体が棺に入れられ、運ばれてきた。封印するセメントを削り、重い大理石の戸を開けると、既に安置されていた2つの棺の場所が移動していたというのである。海外の怪奇現象を調査するオカルト研究家が言う。
「ただ、その時に立ち会った人々は皆、誰かの悪戯だとして、棺を元の場所に戻したそうなんです」
さらに1カ月後、男性が棺に入れられて運ばれ、前回と同様にセメントで封印。4年後の1816年9月に、生後11カ月で亡くなった赤ちゃんの棺が墓所に入ることになった。ところが開けてみると、なんと4つの棺が全て、ひっくり返されていたというのだ。
「この2カ月後には、仮埋葬されていた男性の遺体が運ばれてきたのですが、その時も墓所の戸を開けると、全ての棺が移動している。墓所内部を調べても何の異常も見られず、セメントで固められた戸の封印も壊されていなかったことから、『動く棺桶』として大騒ぎになったのです」(前出・オカルト研究家)
以降、この不思議な現象は「バルバドスの未解明ミステリー」として国内外にも知られるようになり、真相を解明するため、多くの調査が行われた。仮説も立てられたというが、
「雨水の浸水により、地下墓地に溜まった水で棺が浮いたのではないか、あるいは地震の揺れにより棺が移動したのではないか、というものもありました。しかし雨水で重い鉛製の棺が水に浮くとは考えづらく、地震の報告もない。周りに撒いていた砂に異常がないことから、200年以上の時が流れた現在も、全く真相はわかっていません」(前出・オカルト研究家)
まさに謎だらけの怪奇現象なのである。
(ジョン・ドゥ)