で、わたくし的に“ツボ”だった箇所は、殿が2年半程かけて、毎週コツコツと製作していた、スクリーンに映し出されるあまりにもバカバカしい落書きパネルの数々について、殿がいちいち“この落書きを書くのがいかに大変で苦しいことか”はたまた、“あまりにも苦し過ぎて、時には挫折しそうになった”、さらには、“できあがったイタズラ書きパネルが、時にあまりウケず落ち込んだ”等々、当時の心情を赤裸々に語っていた姿がとにかくおかしく、弟子の身で大変生意気ではありますが、〈やっぱりたけしはおもしれーわ!〉と、再認識せずにはいられませんでした。
で、厳選した「たけしお手製イタズラ書きパネル」を20枚程紹介すると、時刻は21時15分を過ぎており、余力を残して、やむなくエンディングへと流れこんだのです。
エンディングでは、前説を務めてくださった、ダイノジさんを舞台へ呼び込み、諸々感想などを話しているところへ、ビートきよし師匠がサプライズ的に登場。「相棒、また俺と漫才をやろうよ。原点に帰ろうよ」とお願いすると殿は、
「お前の頭はなんだ。カラーひよこか!」
と、近年金髪にしているきよし師匠をツッコんだ後、
「あれだな。今度ライブやる時は前説で俺たちが漫才をやってから、スライドを見せてもいいな!」
と、最後の最後まで、客席を大いに沸かせたのです。
拍手喝采を浴び、楽屋へ戻った殿は開口一番、
「ちゃんとウケてたか?」
と、わたくしに確認を取ってくると、続けて、
「久々の客前で大きい声を出したら、途中で左耳がトンじゃってよ。客の笑い声がよく聞こえなくて焦った焦った」
と、“生のライブでつい力が入ってしまった”的な感想を、興奮気味に告白されていました。そして、次々に楽屋に挨拶に来られた友人知人の方々にも、
「大丈夫だった?」
「少しは笑えた?」
「客席はみんな満足してた?」
と、まるで初めて客前でライブを披露した若手芸人のごとく、ライブの出来をとにかく心配されていました。が、ここで終わらないのが怪物・ビートたけしです。この後、打ち上げ会場に移動した殿は、そこでも、ライブに負けず劣らずのテンションにて、途切れることなく、引きも切らずに、喋り倒されていたのでした‥‥。(次回へ続く)