構想が崩れて慌てた巨人は、嶋がダメならばと、同じく国内FA権を行使したヤクルト・相川亮二(38)に触手を伸ばした。しかし、嶋に比べれば8歳も年上のベテランであり、投壊状態のヤクルトにおけるチーム内の正捕手争いで中村悠平に敗れ、“第2捕手”に甘んじるなど全盛期とは言いがたい。
チームスタッフが首をかしげる。
「『小林はまだもの足りない』とこぼす原監督は、嶋を小林の教育役としても計算に入れていたが読みの甘さで破談した。その代役を阿部よりも年上の相川で補おうというのでは‥‥」
相川には、チーム内から「打撃とベテランならではのリード面は評価できるのではないか」との声も確かにあるという。しかし、今季年俸は推定1億1000万円で、「Bランク」と見られることから、相川獲得によって人的補償が発生するリスクがあるのだ。
昨年、チームはFAで獲得した大竹寛(31)と引き換えに、若手ホープのリリーフ右腕・一岡竜司(23)を獲られ、敵軍で“大化け”されて、じだんだを踏んだ苦い経験がある。
「それだけに相川獲得には巨人OBからも『そんな危険なリスクを冒してまで獲りにいくようなレベルの選手ではない。原はいったい何を考えているのか』と猛反発を受けているのが現状です」(プロ野球中継関係者)
そして、グチャグチャになりつつある来季捕手問題は別のところにまで飛び火した。今季1年目の大型内野手・和田恋(19)が秋季キャンプ中に三塁手から未経験の捕手へと異例のコンバートをされることが、急きょ決まったのだ。
「『慎之助も高校2年から捕手で、それまではサード。彼は強肩だし、十二分にできる可能性がある。レッツビギンだよ』という原監督の“ムチャ振り”から端を発した仰天プランには主力選手たちも首をかしげるばかりです。『今年のドラフト1位で(三塁手の超有望株スラッガー)岡本和真(18)を一本釣りできたから、それに押し出される格好となったんだろ』と、和田に同情する声が多く聞かれます」(巨人番記者)
和田にはファームの若手たちからも「きっと、このまま捕手転向失敗で使い物にならず“ポイ捨て”されるんだろうな」と心配する声が寄せられているという。